犬の健康を維持し、快適な生活を送ってもらう為には、消化の良いドッグフード開発が欠かせません。消化率が高いフードは、犬が効率的に栄養を吸収できるようサポートし、免疫力の向上や体重管理、消化器系の健康を促進します。
本記事では、犬にとって消化の良いドッグフードがどのように健康に寄与するのか、また開発プロセスにおける原材料選びのポイントについても解説していきます。
消化の良いドッグフードとは
ドッグフードの品質を評価し、それが犬の体や健康にどれだけ良い影響を与えるかを判断する際、まずは成分リスト、保証分析(タンパク質、脂肪、繊維、水分値)、そしてパッケージに記載されている「総合栄養食」という文字に目を向けることが多いでしょう。
これらは重要な要素ですが、それだけでは十分ではありません。それらに加えて、ドッグフードの品質を測るための重要な指標の一つに「消化率」があります。
消化率はドッグフードの品質を示す重要な指標です。高い消化率を持つということは、犬がそのドッグフードから設計通りの栄養を得ていることを意味します。
これは一見当たり前のように思えますが、「スーパーフード使用」「主原料として肉を使用」と謳う一部の商業用ドライフードは、実際には消化率が低いことがあります。
消化率の測定方法
消化率は排泄物で測定することが出来ます。 消化率は通常、給餌試験を通じて測定されます。評価するドッグフードへの移行期間を経た後、犬には特定の食事を一定量与え、その糞便が収集されて分析されます。
消化率は、摂取した1日あたりの食事の総量から糞便量を差し引いて算出されます。これにより、総消化率のパーセンテージが算出できます。
例えば、犬が1日に250gの食事を取り、40gの糞を排出するとします。これは210gのフードが体内に吸収されたことを意味します。
210g ÷ 250g × 100% = 84%
したがって、このフードの消化率は84%といえます。つまり、犬はドッグフードに含まれる物の84%を吸収し、16%を廃棄物として排出したことになります。
消化率のガイドライン
- 75%未満:消化率が低い/低品質
- 75 – 82%:中程度の消化率/中品質
- 82%以上:消化率が高い/高品質
- 88%以上:非常に高い消化率/高高品質
さらに踏み込んで、特定の栄養素の消化率を考えてみます。例えばタンパク質です。犬が50gのタンパク質を摂取し、糞として5gを排出した場合、その食事に含まれるタンパク質の消化率は90%となります。
45g ÷ 50g × 100% = 90%
それがどうしたの?と思うかもしれませんが、ここで2つのドッグフードを比較してみます。
ドッグフードA:粗タンパク質が30%含まれ、タンパク質の消化率は90%
ドッグフードB:粗タンパク質が30%含まれ、タンパク質の消化率は80%
犬が100gの食事を摂ると、
フードA:30グラムのタンパク質 × 0.90 = 27gが吸収される
フードB:30グラムのタンパク質 × 0.80 = 24gが吸収される
このように、パッケージのラベル上にはどちらもタンパク質が30%含まれていると書かれていますが、実際にはフードAの方が利用可能なタンパク質を多く提供していることがわかります。このように、ドッグフードの品質を測るために「消化率」は重要なのです。
ただし、誤解しないでください。ドッグフードは100%消化される必要はありません。糞便をすることは正常であり、犬の消化器はある程度の不消化物(例:繊維)が通過することで正常に機能します。
実際に、消化率が低い食事が有益な場合もあります。たとえば、減量中の犬(繊維は満腹感を促進します)や、ゆっくりと食事を消化する必要がある犬(例:糖尿病の犬)、または繊維反応性疾患を持つ犬(例:慢性的な便秘)の場合です。
原材料と加工方法も重要
ドッグフードの真の品質は、成分値やラベルに記載されている言葉や写真を見ただけでは判断が難しいことがあります。先述したように同じ成分値を持つ総合栄養食品でも、消化率に大きな差があるからです。これは、原材料の品質や加工方法が大きな違いをもたらします。
例えば、エクストルーダーで加工されるドライフードは、飼料用品質基準で作られることがあり、これは人間の食品を作る過程で残った動物の部位が使用されている可能性があることを意味します。
また、キブル(乾燥フード)がより良い原材料で作られていたとしても、ドライフードを製造するエクストルーダーでは、レンダリングや押し出し加工など複数回の高温処理を経る為、原材料の栄養価が失われる可能性があります。
その結果、消化率が低下し、栄養素が消化器官で吸収されずに糞便として排出されることになります。
消化の良いドッグフードの利点
犬の健康を維持し、長生きさせるために、消化の良いドッグフードを選ぶことは非常に重要です。消化率が高いフードは、犬の体に効率的に栄養を供給し、さまざまな健康面でのメリットをもたらします。ここでは、消化の良いドッグフードがどのように犬の健康に貢献するかを具体的に見ていきましょう。
健康への影響(栄養吸収、免疫力向上)
消化の良いドッグフードは、体内での栄養素の吸収効率を高めます。犬の消化器官が効率よくフードを分解し、必要な栄養素を吸収できれば、体内でのエネルギー供給や細胞の修復がスムーズに行われます。これにより、免疫力が向上し、病気への抵抗力が強化されます。
一方、消化の悪いフードは、栄養素の吸収が不十分になることが多く、犬が必要なビタミンやミネラルを十分に得られない可能性があります。逆に、消化が良いフードであれば、食べた量に対して効率的に栄養が体に行き渡り、犬の健康状態を向上させる大きな要因となります。
食欲の向上と体重管理
消化率の良いフードは、消化器官に負担をかけず、犬が快適に食事を楽しむことができます。食事がストレスになることなく、胃腸でスムーズに処理されることで、食欲が維持されやすくなります。特に、食が細い犬や高齢犬にとって、消化しやすいフードは食欲の増進に役立ちます。
また、消化が良いフードは、体に必要な栄養素が無駄なく吸収されるため、適切な体重管理にもつながります。消化しにくいフードを与え続けると、消化不良が原因でエネルギー効率が悪くなり、必要以上に食べさせる必要があります。これが過食や肥満の原因になる可能性もあります。
消化器系の健康維持
消化の良いフードは、消化器系への負担を軽減し、腸内環境のバランスを整えます。腸内に不要な負担がかからないことで、便通もスムーズになり、便の状態も安定します。これにより、下痢や便秘などのトラブルを避け、犬の快適な日常生活をサポートします。
特に、水溶性食物繊維やプレバイオティクスなど、腸内細菌のバランスを保つ成分が含まれているフードは、腸内の善玉菌を増やし、消化器系全体の健康維持に寄与します。消化器系が健康であることは、ペットのウェルネスにも繋がります。
消化・吸収性を考慮した原材料選び
ドッグフードの開発において、消化・吸収性の良さを考慮することは、犬の健康を最大限にサポートするために欠かせません。
消化しやすい原材料は、栄養素が体内に効果的に吸収されるのを助け、消化器系への負担を軽減します。ここでは、消化の良さを重視した原材料選びについて解説します。
高品質なタンパク質源
タンパク質は、犬にとって体を維持し、筋肉や臓器を修復するために不可欠な栄養素です。しかし、タンパク質の種類や品質によって、消化吸収のしやすさに大きな差が出ます。高品質なタンパク質源を選ぶことは、消化の良さを左右する重要な要素です。
消化吸収率の高いタンパク質としては、鶏肉やラム肉、魚などがあります。これらの動物性タンパク質は、犬の消化器官で効率よく分解され、アミノ酸として体内で活用されます。また、動物性タンパク質は、植物性タンパク質に比べて消化が良く、栄養吸収率が高いことが知られています。
さらに、動物タンパク加水分解物を用いることで、消化吸収がさらに容易になることも報告されています。さらに、タンパク加水分解物はアレルギーを持つペットでも、効率よく栄養を吸収できると言われています。
ビタミンやミネラルが豊富な炭水化物
キブル形成の為に炭水化物を含む必要があるドライフードにおいて、消化吸収時の栄養素を考慮した原材料選びが大切です。例えば、炭水化物は犬にとって必要なビタミンやミネラルの供給源でもあります。
炭水化物には、エネルギー代謝や神経機能に重要なビタミンB群や、体のさまざまな機能をサポートするミネラルが豊富に含まれています。これらの栄養素は、ペットの健康維持に欠かせません。
このように、炭水化物には必要なビタミンやミネラルが含まれており、消化時の吸収される栄養素を考慮した成分選びにおいて重要なポイントです。
水溶性の食物繊維
水溶性食物繊維は、犬の消化器系の健康維持に不可欠な原材料です。消化そのものには直接影響を与えないものの、繊維は消化管の働きを助け、便通をスムーズにし、腸内環境を整える重要な役割を果たします。
水溶性繊維(ケール、ほうれん草など)は、腸内でゲル状になり、腸内の善玉菌によって発酵・分解されて、消化をサポートします。その為、この水溶性食物繊維は「プレバイオティクス」と呼ばれ、これらの善玉菌の成長を促進することで、ミネラル吸収促進作用があります。
ただし、繊維を過剰に摂取すると、消化不良や栄養素の吸収障害を引き起こす可能性があるため、適切な量(一部の推論では、食事の約2.5%から4.5%、多くても10%以下)を保つことが大切です。
消化の良いドッグフードOEM開発
ニュージーランド産の食材は世界でもトップレベルで品質の高いものとして知られ、まさに消化の良いドッグフードを開発するのに相応しい場所です。その理由を探るべく、ここではニュージーランドのOEM製造環境について解説していきたいと思います。
NZにおける放牧畜産業
ニュージーランドは広大な草原、新鮮な空気、そして緑豊かな環境で知られています。そして、この国は新鮮な畜産物や多彩で独創的な美食が世界的に有名です。また、羊や牛の酪農業における先進国であることから、優れたチーズやアイスクリームも多く生産され、人気を博しています。
マヌカハニー、アボカドオイル、季節の果物や野菜など、ニュージーランドがもたらす美味しい農産物は数多くあります。ニュージーランド産の素晴らしい味は、世界規模で高級な食品や飲料製品の製造に大きく貢献しています。
これらの食材に対する高い評価は人間用のものに限らず、ニュージーランドで製造されるスーパープレミアムペットフードにも大きく貢献しています。
ニュージーランドには広大な牧場で実施される非常に高い放牧畜産技術により、BSE(一般に狂牛病として知られる病気で、牛の中枢神経系に影響を及ぼし、攻撃的行動あるいは沈鬱状態を引き起こす致命的な病気)も発生していません。
最高品質の原材料と、ペットフードの製造におけるニュージーランドの厳格な規制要件が相まって、同国がスーパープレミアムフードを製造する為の基準を確立していることが伺えます。
大自然で育まれた食材
温暖な気候、高い降雨量、低人口密度、澄んだ水、肥沃な牧草地といったニュージーランドでのみ見られる環境条件の組み合わせにより、原材料の新鮮さと風味が育まれます。
また、ニュージーランドの動物福祉法と放牧畜産システムは、牛、羊、鹿が自然な環境で飼育されることが求められます。放牧環境で育てられた動物たちは、狭い施設に閉じ込められることなく、抗生物質を受ける必要もなく自由に動き回ることができます。
さらに放牧された家畜は、人工ホルモン、穀物飼料、その他の人口添加物を摂取する必要がありません。その結果、放牧された牛の肉には、主に穀物飼料を食べる牛の肉に比べて30〜40%多くの共役リノール酸(CLA – 抗がん作用や体重を減らす効果)が含まれていることが研究で分かっています。
また、放し飼いの鶏肉は脂肪分が少なく、カロリーも低く、卵も脂肪分が少なくビタミンAが多く、オメガ3も多く含まれていることがわかっています。
食品の安全基準
ニュージーランドが最も重要視しているのが、消費者が食品を摂取する上での安全性です。したがって、ニュージーランドでは高い食品安全レベルを達成するために、家畜や農作物への病原体の侵入や病気の蔓延を防ぐための取り組み、そして家畜の行動や給餌の徹底的な管理を実施しています。
また、国際獣疫事務局(WOAH)からニュージーランドは動物疾病がない国として認識されており、高いレベルの食品トレーサビリティも実現しています。
食品トレーサビリティとは、食品原材料の供給先(サプライヤー)まで追跡できることを言い、これにより食品の安全性が保証されるだけでなく、汚染された食品源の大規模な拡散を防ぐことにも繋がっています。
ペットフード製造の厳格な規制
ニュージーランドのペットフード製造業者は、国によって制定された2つの厳格な法律(ACVM法とAPA法)に準拠しなければなりません。
ニュージーランド食品安全局(NZFSA:New Zealand Food Safety Authority)の農薬及び動物用医薬品グループが、1996年に制定されたACVM法によって農薬及び動物用医薬品の登録、輸入食品のモニタリング、製造、販売、使用などの規制を実施しています。
また、1999年の動物製品法(APA)では、ニュージーランドの動物製品基準を満たすことにより、取引および使用されるすべてのペットフード製品が「意図された目的に適合」していることを求めるリスク管理システムを確立しています。
これらの厳格な法律により、厳選されたペットフード製造業者、かつ衛生的な環境で製造され、高い食品安全レベルを達成しながら栄養豊富な食材を使ったペットフード製造が保証されています。
他国OEMに対する競争優位性
ニュージーランドでのOEM製造は、他国のそれと比べて多くの競争優位性を持っています。
地政学的リスクが低い
ニュージーランドは地政学的リスクが低い地域に位置しています。例えば、オランダやイギリスで製造される製品は、基本的に中東地域のスエズ運河や紅海を経由して日本に輸送されます。しかし、これらの地域は過去に封鎖やコンテナ船襲撃事件が発生しており、政治的緊張が高まるとその影響を受けやすい地域です。
一方、ニュージーランドからの輸送ルートは、こうした地政学的なリスクを避けることができます。日本へのアクセスが直接的であるため、輸送に伴うリスクが抑えられ、より安全なサプライチェーンを構築することが出来ます。
輸送リードタイムの短縮
ニュージーランドから日本への輸送は、英国やオランダで製造される製品の輸送と比較してリードタイムが短くなります。一般的に、欧州から日本までは約60日間、一方でニュージーランドから日本までは約30日間と半分で済みます。
これにより、製品の市場投入が迅速に行えるため、需要の変動に素早く対応することができます。また、リードタイムが短くなることで、在庫管理の効率化も図ることができ、企業の運営コストを削減することが可能です。
キャッシュフローの改善
輸送リードタイムの短縮は、キャッシュフローの改善にもつながります。製品が迅速に市場に投入されることで、売上が早期に発生し、資金回収が迅速に行えるようになります。
英国やオランダでの製造では輸送期間(約60日間)が長いため、キャッシュフローのサイクルが長くなりがちですが、ニュージーランドからの輸送(約30日間)はこの問題を半減します。
結果として、企業は資金繰りをより効率的に行い、ビジネスの成長を促進することができます。
環境規制と持続可能性
ニュージーランドは、他国と比較しても特にサステナブルな畜産とドッグフード製造に重きを置いています。環境に配慮した製造が行われていることは、日々環境意識が高まってきている日本市場において大きな魅力です。この点は、ブランドのイメージ向上にもつながり、他国の製品との差別化ポイントとなります。
消費者から信頼された品質
ニュージーランド産のドッグフードは、その品質と安全性でグローバル市場でも高い評価を得ています。特に、厳しい食品安全基準をクリアした製品は、消費者の信頼を獲得しやすく、競争優位性を確保するための重要な要素となっています。
お問い合わせや相談について
弊社では、お客様のご要望にあわせてニュージーランドにある複数のOEM製造メーカー様から適切なパートナー様をご紹介いたします。当社のOEMサポートに関するお問い合わせや相談は、どんなことでも構いませんのでご気軽にご連絡くださいませ。
主な取り扱い品目
- ドライドッグフード
- ドライキャットフード
- フリーズドライ生肉ドッグフード
- フリーズドライ生肉キャットフード
- エアドライ製法ドッグフード
- エアドライ製法ドッグフード
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