皆さんは多くの野生の犬が昆虫を食べていることをご存知でしょうか? 実は、野生の犬たちは昆虫を食べるだけでなく、虫が食事の大部分を占めることもあります。例えば、オオミミギツネは食性の80 -90 %をシュウカクシロアリ類が占めます。
なぜこれが犬のドッグフードにとって重要なのでしょうか?それは、私たちのペットの祖先であるオオカミ、コヨーテ、キツネなどの食事を考えることで、犬にとって適した食事の栄養価についての洞察が得られるからです。
現在のドッグフード業界では、犬の祖先の食事慣習に倣って「高たんぱく質フード」を与えるというトレンドがありますが、野生の犬たちは昆虫も一般的な食べ物として食しています。
実際、野生の犬にとって昆虫を食べることは理にかなっています。というのも、昆虫はあらゆる場所に存在し、年間を通じて手に入るからです。また、昆虫は犬が狩りをする中で最も安全な動物性タンパク質の一つです。特に小さな犬にとっては、昆虫は犬に怪我をさせるような致命傷を与えることが少ない為、安心です。
さらに最も重要なのは、昆虫はタンパク質、脂肪、その他の犬に必要な必須栄養素を豊富に含んでいることです。本記事では、昆虫を食べる野生の犬についていくつか紹介します。
オオミミギツネ
オオミミギツネ(Otocyon megalotis)は、アフリカのサバンナに生息するユニークな種で、その大きな耳が特徴です。耳を使って地中の獲物を探し出します。
主に昆虫を食べるオオミミギツネの食事は、主にシロアリ、甲虫類(カブトムシなど)、バッタなどの小さな無脊椎動物で構成されています。オオミミギツネは昆虫の個体数を抑制する上でも重要な役割を果たしており、年間で最大115万匹のシロアリを消費すると言われています。
また時折、小さな齧歯動物や果物、卵を食べることもあり、多様な食生活に適応しています。
ベンガルギツネ
ベンガルギツネ(Vulpes bengalensis)は、インド亜大陸に生息する細身で小型(体長45-60cm、体重約2-3kg)のイヌ科動物です。ふさふさの尾ととがった耳、赤褐色の毛皮が特徴です。
ベンガルギツネの食事は非常に多様で、昆虫、小型哺乳類、鳥類、爬虫類、果物などを含む雑食性です。この雑食性の食事は、草原や低木地帯、半乾燥地域に至るまでさまざまな環境に適応するために役立っています。
彼らは昆虫や小動物の個体数を制御し、果物を食べることで種子を分散させる役割を担っています。
コヨーテ
コヨーテ(Canis latrans)は、北アメリカ大陸に広く分布するイヌ科動物で、ふさふさの尾、尖った耳、知的な目が特徴です。森林、草原、砂漠、都市部など、さまざまな生息地で生活しています。
食事は雑食性で、多様なものが含まれており、ウサギや齧歯動物などの小型哺乳類、鳥類、爬虫類、昆虫、さらには果物や野菜も食べます。
また、コヨーテは死肉を食べることもあります。適応力のある食生活と狩猟スキルにより、野生や人間の影響を受けた環境でもうまく生存しています。
ヨコスジジャッカル
ヨコスジジャッカル(Canis adustus)は、アフリカの中央部と南部に生息する中型のイヌ科動物で、体の側面に沿って走る白いストライプが特徴です。
彼らは非常に適応力が高く、サバンナや森林地帯、さらには市街地など、さまざまな環境に生息しています。食事は雑食性で、小型哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、昆虫、果物などを含みます。
また、死肉や人間の廃棄物を食べることもあります。ジンバブエで行われた調査では果実48%、昆虫31%、死骸と鳥類がそれぞれ11%という報告例があります。
シマハイイロギツネ
シマハイイロギツネ(Urocyon littoralis)は、カリフォルニア州沿岸のチャンネル諸島の8つの島のうち6つの島に生息する固有の小型キツネ種です。
体長は50cm台前後、体重は2kg前後で、大きさはチワワに近い小型種です。食事は雑食性であり、昆虫、小型哺乳類、鳥類、卵、植物など、限られた資源環境に適した多様な食性を持ちます。
この多様な食性は、シマハイイロギツネがその島の生態系で生き残るのに役立つだけでなく、昆虫やげっ歯類の個体数抑制においても重要な役割を果たしています。