タイの水産食品会社であるThai Unionは、人とペット向けの両分野で食品を製造しており、とくに同社のキャットフードのカタログはミシュランレストランにあるメニューのようです。

そのカタログには、サーモンを刺身風に調理し、イクラに似せたものを添えたものや、クリームソースをかけたジューシーなミートローフなどが掲載されています。スープにはラムやツナスープなどがあります。スナックでは、厳選された食材を使用したスフレやソース付きのビタミンボール、サーモンビスケットのスティックなどが販売されています。

参照先:Thai Union, Brochure_Premium_Pet_Food

このように、タイの食品会社ではスーパープレミアムペットフードの開発が進んでいます。特に猫向けのスーパープレミアムペットフードの開発が活発で、タイでは長年にわたりペットフードに必要な原材料が豊富に存在します。そして、タイでは巨大なペットフードの製造能力を持っていることから、国内市場で消費するペットフードだけでなく、世界中の消費者に供給することができます。

パンデミックの影響でペットの人間化が高まったタイでは、ここ数年間で消費者の購買力が高まり、スーパープレミアム品の需要が更に高まってきました。タイのペットフード市場では、国内外を含むペットフードメーカーにとって、栄養価の高いプレミアム及びスーパープレミアムペットフードを提供することが成功の鍵と言われています。

Flanders Investment and Tradeは、プレミアムおよびスーパープレミアムペットフードだけでタイのペットフード市場の25%をも占め、その成長見通しは毎年倍増すると非常に前向きな予想がされています。

タイ国内ペットフード市場

タイ国内ペットフード市場

世界に大混乱をもたらしたコロナの影響を受けずに、タイのペット市場は「国内ペット市場」から「ペットフードの輸出」まであらゆる面で成長すると予想されています。国営の銀行機関であるKrungthai銀行は、2021年にタイのペット市場を440億バーツ(12億USDドル)と評価し、2026年には667億バーツ(18.8億USDドル)に達するだろうと述べました。

タイペット製品業協会(TPPIA)によれば、2011年以来、タイのペットフード産業は年間約10%の成長を維持しています。2017年には293億バーツ(8.3億USDドル)、2018年には322.3億バーツ(9.1億USDドル)、2019年には360億バーツ(10.2億USDドル)と市場が拡大してきました。そして、市場のほぼ半分が犬と猫向けのペットフードで占められており、残りはさまざまな種類のペットケア製品とサービスに分かれています。

Mordor IntelligenceやResearch and Marketsなどのビジネスアナリストによれば、2022年から2027年までの間に、タイのペットフード市場の年平均成長率(CAGR)は5.2-5.43%の間になると見込まれています。

世界第4位ペットフード輸出国タイ

世界第4位ペットフード輸出国タイ

2019年以来、タイはドイツ、アメリカ、フランスに続く世界第4位のペットフード輸出国でもあります。また、2019年にはFlanders Investment and Tradeによると、タイは中国に次ぐ第2位のEU向けペットフード輸出国として、2.15億ユーロに達する輸出額を達成しました。

タイペットフード貿易協会(TPFA)によると、タイ現地メーカーの自社ブランドがタイからのドッグフードとキャットフード輸出の20%を占め、残りの80%は国際メジャーブランドのOEM品で占められています。

国際貿易センターによると、タイは2019年に総額16.5億USDドル相当のペットフードを輸出しました。しかし、TPFAのDr. Chanintr Chalisarapongによれば、2020年にはタイのペットフード輸出は609,001トンで、総額16億USDドルにとどまりました。彼はGlobalPetsに寄せた記事で、2020年の数字は2019年と比較して輸出量が13%、輸出単価が19%増加したことを示しています。そして、2021年のタイのペットフード輸出が少なくとも10%拡大すると楽観的な見通しを示しました。

さらに、2021年1-5月のペットフード輸出を2020年同期間と比較すると、輸出単価は既に25%増加し、輸出数量は19%増加していると述べられています。そして、2021年タイのペットフードの輸出先は、上位からアメリカ、日本、イタリア、マレーシア、オーストラリアでした。

スーパープレミアム化するキャットフード

スーパープレミアム化するキャットフード

2017年以来、タイのペット飼育人口は年間10%増加しており、国内世帯の3分の1以上で少なくとも1匹のペットが飼われています。タイペット製品業協会(TPPIA)のデータによると、2020年までに、タイでは1,450万匹のペットが飼われており、うち890万匹が犬(62%)、330万匹が猫(23%)、その他の種類のペット(15%)でした。

ペット飼育が増加した理由として、ペット所有から「ペットの人間化」へ移行したことが挙げられ、プレミアムおよびスーパープレミアムペットフードが急速に発展してきています。特に人間化した猫たちはこれらの味を好むことから、タイでは犬のそれらよりも需要が高まってきています。

2021年9月のアメリカ合衆国農務省(USDA)のグローバル農業情報ネットワーク(GAIN)によるタイのペットフード産業に関する報告書には、このトレンドに注目し、高い栄養価とより良い食感を持つキャットフードの開発に力を入れているペットフードメーカーが増えているとあります。

さらに、キャットフード市場は2019年から2021年の間にほぼ30%成長しており、より多くのウェットタイプのキャットフードが上市しています。また、キャットフードに関しては、ドライフードとウェットフードの比率が60%対40%であり、ドッグフードに関してはその比率が80%対20%です。

このように、猫のプレミアムキャットフードへの需要の増加は、技術革新と販売の両方の面でペットフード産業全体に大きな影響を与えています。たしかにプレミアムペットフードは通常の製品よりも高価ですが、人間に近いフードと評価され、ペットの健康に重点を置いた高級ペットフードがより多くのペットに消費され、タイのペットフード産業に新しい収益構造をもたらしています。

タイのペットフード製造における今後の課題

タイのペットフード製造における今後の課題

しかし、利益についてだけではなく高品質のペットフードの開発に関するすべての活動は、ペット栄養学と共に発展していくべきだと指摘するのは、オランダのVobra Special Petfoods BVの研究開発責任者Dr. Anton C. Beynenです。

動物栄養学の専門家であるDr. Antonは、2013年の論文「タイのペットフード産業とペット栄養学」で、タイのペットフードビジネスのさらなる成長にはペット栄養学との密接な繋がりが必要であり、当産業は市場の差別化、栄養のトレンド、製品開発の進展、原材料不足などの問題を考慮しながらペットフード製品を開発する必要があると主張しています。

さらにDr. Antonは、急成長するタイのペットフード市場を支援する専門的なペット栄養学の専門家をもっと育成するよう推奨しています。具体的に、栄養が犬と猫の健康と疾患に与える役割などです。彼はまた、タイの大学がペット栄養学の科学的研究の促進などペット栄養学と栄養学が含まれるべきと述べています。