EC販売サイトを運営していると、必ずやってくる返品対応。どんなに返品依頼がないよう努力していても、発生してしまうものですよね。当記事では、以下の悩みを解決します。

・返品依頼は受けるべきか悩んでいる。
・返品する基準はどうすればいいか。
・返品対応の仕方がわからない。

購入されたお客様から返品依頼があるということは、何かしらの理由で商品に満足されなかったということになります。しかし返品依頼があったからと言って、そこまで落ち込む必要はありません。

返品対応時に大切なのは、返品依頼の理由を明確にして、適切な返品対応を行い、同じことが起きないように改善していくことが必要です。その結果、お客様からは信頼、さらにはリピーターになってくれる可能性も増えます。

返品対応はすべきか?

1. 返品対応はすべきか?

結論:返品対応は実施すべき

結論から申し上げますと、お客様都合だとしても返品対応は実施すべきと考えます。何故なら、返品対応をすることで、リピーターを生むことが分かっているからです。

EC事業をマネジメントするNarvar社によるアンケート結果によると、オンライン利用者の95%は、返品プロセスに満足すれば、再び同じECサイトで購入を検討すると回答しました。

次にEC市場において、平均して返品率がどのくらいあるのか見ていきましょう。通販企業に多くの顧客を持つエルテックスの独自調査「通信販売事業関与者の実態調査2021」によると、売り上げ全体の10%もが返品されていることがわかります。

参照先:https://www.eltex.co.jp/lab/research/20210827

統計結果から分かることとして、購入されたお客様から返品依頼があるのは、どうしても避けられないということです。だからといって、返品対応をしない、もしくは不誠実な返品対応をしてしまえば、二度と購入してもらえないばかりか、悪い評価をされてしまいます。

今やSNSによる情報拡散が簡単にできますから、そうなれば自社EC事業の継続性にも影響しかねません。

返品対応の悪さが顧客喪失に直結

実際にカスタマーサービス管理を効率的に行えるシステム・ソフトウェアを開発・提供するZendeskの調査によると、消費者の82%が返品対応の悪さが原因で、対象ECサイトの利用をやめてしまうことも判明しています。

適切な返品対応による恩恵

2. 適切な返品対応による恩恵


もう少し具体的に、適切な返品対応をすることで、どんな恩恵が得れるのかお伝えしていきます。

信頼を得ることができる

誠実な返品対応を実施することができれば、当事者から顧客の視点に立って物事を考えるECサイト運営者であると思ってもらえます。さらにそういった評価が、SNSやレビュー欄で共有されれば、これから購入を検討されているお客様からも、信頼を得ることができます。

リピーターを獲得できる

意外に思えるかもしれませんが、一度返品依頼をしたお客様がリピーター顧客になることもあり得ます。実際に、先述したNarvar社によるアンケート結果では、商品を返品した経験のある利用者の82%は、適切な返品対応を実施したECサイトのリピーターになってることが分かっています。

返品サービスに必要なこと

3. 返品サービスに必要なこと

適切な返品対応を実施することで、お客様だけでなく、ECサイト運営側にとっても恩恵があることがわかりました。では具体的に、どのような返品サービスを提供していけばいいのでしょうか?

ここでは、お客様に満足してもらえる返品サービスの運営方法をご紹介します。

ⅰ. 誰でもわかる返品基準にする

不良品である条件を明確にする

返品依頼されるということは、何かしらの原因があります。その原因を事前に洗い出し、返品できる条件を明確にしておきます。例えば、購入した商品と違った物、配送過程での汚れなどです。

そうすることで、返品依頼が来た時に、返品送料や手数料をどちらが支払うのかトラブルになりにくくなります。

返品条件を明確にする

次に、不良品の条件に当てはまる場合と、お客様都合による返品で以下の条件を明確にします。実は、不良品に当てはまらなくても、お客様都合による返品依頼も多くあります。

結論から申し上げると、その場合でも返品対応をして、顧客満足度を上げる方が、先述したように販売側にもメリットがあります。

ですから、自社責任の場合とお客様都合の2パターンで以下の条件を、しっかりと明確にしておきましょう。

  • 返品期限
  • 返品送料・手数料
  • 返金方法
  • 返金額の範囲

ⅱ. 返品依頼が来た時のステップ

いきなり返品対応をしてしまうと、せっかくの販売売り上げがゼロになってしまいます。できるなら返品せずに、売り上げも維持していくことが、経営者として大切です。

① 商品の交換

まずは、商品の交換によって問題が解決できるか模索しましょう。仮に販売側の責任であれば、返品対応に発生する費用は、自社で支払います。

② 商品の割引

お客様が交換に応じない場合、商品の割引提案をするのも一つの手です。実際に私の経験では、商品の割引を提案して、返品せずに承諾してもらったケースもいくつかあります。

③ 返品の実施

「商品の交換」「商品の割引」でも折り合わない場合、返品対応を実施しましょう。

ⅲ. 返品対応レビューのお願い

返品対応が終わったら、返品対応に関するレビューを依頼してみましょう。特にお客様都合の返品依頼の場合、お客様自身も申し訳なく思っている部分もあるので、快くレビューを書いてくれる傾向にあります。

「返品対応が良かった」というレビューがあれば、これから購入を検討しているお客様は、「もし返品したい場合でも返品トラブルが避けられる」と考え、購入に対するハードルがグッと下がります。

否定的なレビューでも焦らない

たとえ否定的なレビューだったとしても焦らないでください。否定的なレビューに対して、真摯にどう向き合っていくか、解決策を考えていくかをレビュー欄にコメントしてください。

その結果、他のお客様からは、問題に対して真摯に向き合っているということが伝わり、逆に購入意欲が高まる可能性があります。大切なのは、お客様からのフィードバックに対して、正面から向き合うことです。

ⅳ. 顧客フィードバックの分析

返品対応を終えたら、それで満足するのではなく、同じことが発生しないように運営していきましょう。同じことを繰り返していれば、運営工数がかかるだけでなく、いずれはお客様からの信頼も失ってしまいます。同じ問題を繰り返していて、良く思われることってないですよね。

ですから、同じ問題が起きないよう恒久対策を考え、それに応じて返金ポリシーを改定していくことが重要です。