「信頼」はビジネスの成功における重要な要素です。現代のお買い物事情において、消費者はクリック一つで、世界中のどこからでも商品を購入できるようになりました。

言い換えれば、インターネットによるショッピングが主流になってきました。しかし、気軽にネットショッピングできるようになった一方で、実店舗による販売モデルには存在しなかった新たな問題も顕在化してきました。それが以下の図にあります。
 

参照先:総務省 平成27年「社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識に関する調査研究」

 
このデータは、ネットショッピングを「利用しない」人が回答した、ネットショッピングを「利用しない理由」が挙げられています。

見てみると、「今までネットショッピングを利用しなくても特に困らなかったから」も回答率が多いです。しかし、コロナ流行後の生活にネットショッピングは欠かせないものになりました。ですから、特に注視したいのが、以下の3項目です。

1. ネットショッピング事業者の信頼性が低いから - 23.0%
2. 決済手段のセキュリティに不安があるから - 22.5%
3. 実店舗で実物を見たり触ったりして購入したいから - 18.1%

各項目に共通して言えるのが「信頼性」が大切であるということです。そこで当記事では、ネットビジネスの成功に必要な「信頼」を獲得する為の対策をご紹介します。

どんなネットショップか知ってもらう

1. どんなネットショップか知ってもらう

運営者の情報を開示する

運営者の情報が分からない「ECサイト」や「オンラインストア」というのは、どうしても不信感を抱かれてしまうものです。あなたが消費者の立場だったら、どう感じるでしょうか?

ですから、ランディングページ(LP)には「運営者の情報」が分かる特定商取引法に基づく表記のリンクを作成しましょう。そして以下の情報を表記します。

・販売業者
 企業名、個人名または屋号を表示します。

・運営統括責任者名
 販売に関しての責任者名を表示します。個人運営の場合、個人名を表示します。

・所在地
 店舗がある場合は店舗の住所。店舗がない場合は、会社の住所や開業届に出した住所。

ECサイトには、運営者の情報をしっかり明記し、運営者の顔がイメージできる透明性が大切です。

ブランドストーリーを共有する

ブランドストーリーとは、消費者に対してECサイトを運営するあなたが「誰で」「どんなコンセプトを持ったショップか」を示します。

感情的に訴える、親しみやすい、または役立つ学習体験を引き起こすストーリーは、消費者にとって、より魅力的で、信頼できるショップとして記憶に残るものになります。

販売モデルの見える化

「商品の製作から消費者に届くまで」の販売モデルの透明性は、信頼を獲得するうえで重要です。というのも、どんな場所で作られ、誰が卸しているか分かれば、消費者は安心して商品を購入できるからです。

例えば、スーパーで鶏肉を購入する時、生産者がわかる鶏肉と、生産国が単にスリランカと記載されている鶏肉、どちらを選ぶでしょうか?価格を考慮しないとすれば、前者ではないでしょうか?

販売する側も情報開示するには、商品の「品質」に自信を持ってなければできないでしょうから、信頼性は高まりますよね。

このように、商品の製作から消費者に届くまでのプロセスを見えるようにすることで、消費者からの信頼を獲得することができます。D2C販売モデルは、ネットショップにオススメです。

取引の透明性と安心を提供する

4. 取引の透明性と安心を提供する

365日24時間対応のカスタマーサービス

オンラインによるビジネスが増え、顔の見えない対話が主流になりつつある現在、消費者からの問い合わせは多くあります。そこで皆さんは、こんな経験ありませんか?

お問い合わせチャットで質問すると、自動応答メッセージによる回答が的外れでイライラ。いつまでたっても聞きたいことが聞けない、聞けたとしても何日もかかるといった経験。こうなってしまうと、せっかく関心があったとしても興味が薄れていきますよね。

一方で、自分の質問に対し、数分以内にレスポンスが来たらどうでしょうか?知りたかった情報も得ることができるだけでなく、真摯な対応から信頼できるお店だと思いませんか?

それに加え、一般的な企業のカスタマーサービスは、土日休みの場合が多いので、競合他社に対して差別化できる部分にもなりえます。

セキュリティの安全性を保障する

一般社団法人、中小企業個人情報セキュリティー推進協会は、過去1年以内に10種類以上のECサイトで買い物をした人539名を対象に、2021年に「ECサイト利用時のセキュリティ意識」に関する調査を実施しました。その中のある質問と回答結果です。

参照先:https://ecnomikata.com/ecnews/33141/

結果を見ると、「かなり躊躇する」と「やや躊躇する」を含めると、90%もの人がECサイトでのショッピングを躊躇していることが分かります。

こうした課題を対処する1つの方法が、セキュリティ強化アプリの使用です。これらのアプリは、セキュリティを強化するのはもちろん、ECサイトに認証されたセキュリティバッジを表示させることによって、消費者に対して安全性を知らせることができます。

First Reach が使用するセキュリティバッジ

上の写真は、Shopifyプラグインの McAfee SECUREから認証されたTrustedSiteセキュリティバッジです。当社ECサイトでも使用しています。

返金ポリシーを明確にする

みなさんもネットショッピングで決済する前に、返金ポリシーを確認したことがあると思います。ネットショッピングでは、目で見て確認することができないので、思い描いていたイメージとのギャップが発生し、返品の可能性があるからです。

そんな時、明確な返品ポリシーがあることで、消費者はオンラインで商品を買うリスクを減らすことができます。さらに好条件の返品ポリシーは、自社商品への品質に自信がある、そしてお客様優先で考えているとみなされるため、購入障壁をガクンとさげることに寄与します。

よくある質問への回答集を掲載する

FAQページは、消費者の懸念点や不安を事前に解消する役目を持ちます。ECサイトを運営していく上で、お客様からのフィードバックを得る機会を増やし、どんなことに不安を抱えているのを洗い出し、質問&回答集を作成しましょう。

代金引換の支払い方法を利用可能にする

消費者は、よく知らないネットショップから商品を購入しても、ものが届くかわからないという不安を持っています。

実際に当社もECサイトを開設して1年目は、決済の約40%が代金引換取引でした。今では、解説してから4年目に入り、お客様からのレビューが増えてきたこともあってか、信頼されてきたように思えます。その結果、クレジット決済がほとんどになりました。

品質の確からしさをお伝えする

2. 品質の確からしさをお伝えする

検品作業について

検品作業は、商品の品質を確保する上で、非常に重要です。というのも、品質基準に満たない商品がお客様に届けば、クレームにつながり、お店の評判が下がります。その結果、良いレビューを集めることができず、消費者からの信頼を失ってしまいかねません。

ですから、自分もしくは第三者機関を使って、商品の検品を実施することが大切です。特に海外から輸入する場合、初めは苦労するかもしれません。しかし当社の経験上、コストや工数を使ってでも品質を確保することで、多くのお客様から信頼を獲得できているように思います。

お客様からのレビューを増やす

購入したお客様が、投稿するレビューを表示することで、購入を検討しているお客様は、その評価を客観的な意見として検討の判断材料にできます。

運営者が記述する商品説明では、どうしても良いことを書いてしまいがちなので、客観的な意見であるレビューというのは、信頼を得ることができる強力な要素であると言えます。

当社の運営経験上、レビューが20個以上集められると有益な情報になると考えています。さらに良いレビューだけでなく、イマイチであるレビューも臆せず表示させることで、公平な判断材料になりえます。

ですから、悪い評価だとしても、非表示にせずしっかりと掲載するようにしましょう。重要なのは、悪い評価に対して、どのようなレスポンスをして恒久的な対策をするかが、信頼を獲得する為に必要なアクションと言えるでしょう。

クラファンの実績を作る

お客様からのレビュー以外にも、雑誌などのメディアに掲載されたという実績を作ることも有意義な活動です。私のオススメは、クラウドファンディングによる実績作りです。

「クラウドファンディング」とは、「群衆(Crowd)」と「資金調達(Funding)」という言葉を組み合わせた造語で、インターネットを通じて不特定多数の人に資金提供を呼びかけ、趣旨に賛同した人から資金を集める方法です。

ビジドラ~起業家の経営をサポートより引用:クラウドファンディングとは? (smbc-card.com)

言い換えれば、権威あるクラファンプラットフォームを使い、自社商品を購入してもらうわけです。したがって、プロジェクトが成功すれば、多くのお客様から支援された、信用できる商品だということが言えるわけです。クラウドファンディンに関する詳細は別記事をご覧ください。

商品の製造元をお伝えする

先述した「販売モデルの見える化」に近いことですが、商品の製造元を開示することは、お客様に安心してもらえる要素です。

提携する製造元を開示するだけでなく、商品の製作プロセスを紹介することで、品質への自信をお伝え出来ます。その結果、消費者からも信頼を得ることができます。

商品の詳細情報を記載する

3. 商品の詳細情報を記載する

詳細な商品情報を提供する

商品によって要求される商品情報は異なってきますので、自分が消費者になって考えてみましょう。例えば、商品が財布の場合、財布のサイズ、収納量、使いやすさがわかる情報が必要です。

商品説明時に気を付けなければならないのが、過剰な言い回しや根拠のない記述です。事実と乖離した情報だと、信頼できないECサイトだと思われる原因になるのでご注意ください。

「注意書き」で誠実・信頼性UP

商品によっては注意しながら使用しないと、破損やトラブルが起きたりします。ですから事前に商品説明に「注意書き」をすることで、誠実かつ信頼できるネットショップだと認知されやすくなります。それだけでなく、返品や低評価を防げる可能性だってあります。

専門性のあるコンテンツを充実させる

現代のECサイトにはビジネスブログ機能がついています。そのブログにて、商品に関連する専門的なコンテンツを充実させます。

例えば、商品の開発秘話、業界知識情報を提供することで、自社オンラインストアが販売チャネルというだけでなく、専門的な情報を得ることができる有益サイトとして認識されます。その結果、お客様から信用されるようになります。

画像・GIF・動画を活用する

映像の活用です。映像は、文字では表現・伝えることが難しい部分を補完してくれます。よって、文字では伝えにくいパートに映像を挿入していくことで、より商品の詳細部分を伝えることができます。

そんな便利な映像にも、いくつかの種類があるので、自分が何を伝えたいかで使い分けてみてください。

画像の活用

画像の活用

画像があることで、商品のイメージが湧きやすくなるだけでなく、細かい部分が伝わりやすくなります。ただ光の反射具合などで、実物の色合いと異なったりすることもあり、誤解を招く場合もあります。画像を撮影する際は、より実物に近い色合いが出せるよう、細心の注意が必要です。

GIFの活用

via GIPHY

GIFとは、動きがループする画像のことです。画像よりも、動作を伝えるのに便利です。さらに、勝手に画像が動いてくれるので、クリックしないと見られない動画よりも、格段に見られる機会も多くなります。

しかしながら、使用できる色数が限られていることもあるため、鮮明な描写は得意としません。それに加えて、音声も付与することはできません。

動画の活用

動画の活用

動画は、色や動作など多くの情報を正確に伝えることができます。それに加えて、人の感情にも訴えやすく記憶に残りやすいと言われています。

一方、動画を見てもらう為には、余計に1クリック押してもらう必要があるため、LPに訪問しに来たお客様全員が見てくれるわけではありません。