犬の食事には、適切な量の食物繊維をドッグフードに含めるべきですが、最適な方法を見つけるのは必ずしも簡単ではありません。

ドッグフードメーカーとして、犬のドッグフードに食物繊維を取り入れるための最適な原材料、そしてどのくらいの量を添加するべきかを知りたいものです。

食物繊維は植物から得られるもので、消化されない炭水化物の一種です。しかし、食物繊維は他の食物の消化を助け、犬の健康にとって重要な役割を果たします。

2種類の食物繊維

食物繊維には、水溶性と不溶性の2種類があり、ドッグフードには両方を含めることが大切です。水溶性食物繊維は水に溶けるため、犬の結腸に到達すると、善玉菌のエサとして働き、消化を助けます。そのため、水溶性食物繊維は「プレバイオティクス」と呼ばれ、これらの善玉菌の成長を促進します。

一方で、不溶性食物繊維は溶けず、腸を通過する際に便をかさ増しすることで排便を促します。また、満腹感を与えるため、適切な体重を維持する事にも繋がります。

水溶性食物繊維

消化のサポート

犬は食物繊維を直接消化することはできませんが、消化の過程で、犬の大腸に存在する善玉菌が特定の種類の繊維を分解・発酵させます。この過程で脂肪酸が生成され、腸内の悪玉菌の数を減らすのに役立ちます。

糖尿病の管理

糖尿病を患っている犬にとって、食物繊維は血糖値を下げ、血糖値の急上昇を防ぐのに役立ちます。高繊維食を摂取する犬は、血糖値の変動が少なくなることがあり、場合によってはインスリン感受性が改善されることもあります。

プレバイオティクス効果

プレバイオティクスは、腸内の善玉菌のエサとして働き、免疫力、消化、そして全体的な健康を改善することができます。

不溶性食物繊維

健全な排便の促進

食物繊維は、水分や老廃物を吸着し、便のかさを増やして腸のぜん動運動を促すことで便秘を軽減します。これにより、腸が刺激され、腸内における便の通過時間が正常化されます。

健康的な体重のサポート

肥満気味の犬は、食物繊維の摂取によって満腹感を得ることができるため、食事の量やカロリー摂取を減らしながら、食後制限を行うことができます。

排便と食物繊維の関係

食物繊維は犬の便を緩めることで便秘を防いでくれます。食物繊維が不足していると、犬は便をするのが困難になる為、適切な量の食物繊維を添加することで規則的な排便をサポートします。排便が規則的になると、犬は不快感を感じにくくなり、肛門腺炎などの問題を避けるのにも役立ちます。

食物繊維が排便を促進しつつ、同時に下痢を抑制することができるのは不思議に思えるかもしれませんが、水溶性繊維が余分な水分を吸収する為、水っぽい便を防いでくれます。

しかしながら、食物繊維の摂りすぎが原因で便が緩くなることもあるので注意が必要です。

食物繊維は何から摂るべきか?

食物繊維は水溶性であれ、不溶性であれ、犬の排便をスムーズにし、彼らの食事に不可欠です。犬の食事に食物繊維を加えることは重要で、ほとんどのドライフードにはセルロースという繊維が含まれています。

これは一部の人間の食品にも含まれており、チーズ、アイスクリーム、ゼリー、パン、調味料などのさまざまな加工食品に添加されています。

しかし、セルロースは不溶性繊維なので、犬に過剰に与えるべきではありません。犬の食事には、水溶性繊維もバランスよく含まれていないと、本来の食物繊維のメリットを阻害してしまいます。

ビートパルプ(水溶性&不溶性)

サトウダイコンから砂糖を抽出する過程で得られるビートパルプは、家畜の飼料として広く使用されている繊維質の材料です。ビートパルプは消化器系の健康をサポートするだけでなく、免疫機能や皮膚や被毛の健康維持にも役立ちます。

大豆皮(水溶性&不溶性)

大豆皮も、ビートパルプと同様に家畜の飼料として広く使用されています。しばしば「かさ増し」や「フィラー」として不当に見なされますが、大豆皮は犬にとって優れた繊維源です。

小麦ふすま(水溶性&不溶性)

小麦粒の表皮である小麦ふすまは、脂肪酸と不溶性繊維が豊富で、健全な消化をサポートします。小麦ふすまは犬の腸内の善玉菌の栄養源となり、下痢や便秘の予防に役立ちます。

サイリウム(水溶性&不溶性)

サイリウムは、水溶性繊維と不溶性繊維の両方を含んでおり、犬にとって自然なかさ増し剤として機能します。オオバコの種子の外皮から作られるサイリウムは、犬の下痢や便秘の症状を和らげるのに役立ちます。

セルロース(不溶性)

植物細胞壁の構造成分であるセルロースは、不溶性の植物繊維で、かさを増やし、食物が消化管をスムーズに通過させる働きがあります。ドッグフードに使用される粉末セルロースは、健全な消化をサポートします。

葉物野菜(水溶性&不溶性)

キャベツ、ケール、レタス、ほうれん草などは、犬にとって優れた繊維源となる葉物野菜の例です。これらの葉物野菜には、繊維に加えて、ビタミンA、C、Kが豊富に含まれており、カルシウム、鉄、カリウムなどのミネラルもたっぷり含まれています。

食物繊維の適切な量は?!

本来、犬は食物繊維を必要としませんが、それでもいくつかの重要な健康効果をもたらします。とはいえ、犬に与えるべき食物繊維の量についてはドッグフード業界でも意見が分かれており、明確に規定された食物繊維摂取量は存在しません。

一部の推論では、食事の約2.5%から4.5%、多くても10%以下が適切とされています。

食物繊維は犬の食事の重要なファクターですが、単に多ければ良いというわけではありません。食物繊維を摂りすぎると、体重減少、ガス、お腹の張り、下痢、嘔吐などの症状が現れる可能性があります。

その為、ドッグフードに食物繊維を添加しようと検討している場合は、まず製造メーカーや獣医師に相談して、犬がより多くの食物繊維を摂取することで十分にメリットを享受できるかどうかを確認することが重要です。