犬の健康を第一に考えるドッグフードメーカーにとって、ドッグフードのレシピ設計は非常に重要です。最近では、人間の健康に役立つとされる「スーパーフード」が犬の食事にも注目されています。

これらのスーパーフードは、高い栄養価と健康維持に役立つ特性を持ち、犬の体調管理や長寿をサポートする可能性があります。本記事では、ドッグフード開発においてレシピに取り入れたいスーパーフード15選をご紹介します。

犬にとってのスーパーフードとは

スーパーフードに科学的な定義はありませんが、一般的に抗酸化物質、食物繊維、ビタミン、ミネラルが豊富で、健康や免疫システムに良い影響を与える食材と言われています。

例えば、スーパーフードには豊富な抗酸化物質が含まれており、これは体に対する酸化ストレスを軽減することで、がんやその他の病気を予防すると考えられています。酸化ストレスとは、体内にフリーラジカルが過剰に存在することで起こり、病気と深く関連しています。

また、サーモンやココナッツオイルなどの食材には健康的な脂肪が含まれており、心臓病の予防に役立つことがあります。そして、ケールのような高食物繊維は消化を促進し満腹感を与えることで減量にも役立ちます。

良いドッグフードとは?

市販されている総合栄養食ドッグフードはAAFCOやFEDIAF基準に則り、犬に必要な栄養素が調整されています。では、このドッグフードには具体的に何が含まれているのでしょうか?

犬は猫とは異なり、完全な肉食動物ではありません。肉が食事の大部分を占めますが、家庭犬は穀物、果物、野菜からも栄養を得ることができます。これらの非肉食品は単なるフィラー(かさ増し)ではなく、必須ビタミン、ミネラル、食物繊維といった貴重な供給源となっています。

良いドッグフードには、これらの肉、野菜、穀物、果物が含まれています。高品質のドッグフードには、これらの高品質な原材料を含み、犬が元気に過ごしたり、病気の予防といった健康全般を維持するのに役立ちます。また、犬の歯、皮膚、免疫システム、消化器系の健康にも優れています。

レシピに加えたいスーパーフード

脂ののった魚

ニシン、サーモン、サバ、イワシ、アンチョビ、ホキのような脂肪の多い魚は、嗜好性が高く、たんぱく質、多価不飽和脂肪酸脂肪、必須脂肪酸であるオメガ3が豊富です。オメガ3脂肪酸は犬の肌と被毛の健康を向上させ、関節炎や炎症、脳の老化を防ぎます。

また、これらの魚にはカルシウムなどの骨や関節の健康に重要なビタミンやミネラルも豊富に含まれています。さらに、小さな魚、例えばアンチョビやイワシは食物連鎖の下層に位置するため、より持続可能で水銀の危険性も少ないです。

亜麻仁(フラックスシード)

亜麻仁(フラックスシード)は、犬の健康に非常に有益なスーパーフードで、特にオメガ3脂肪酸(α-リノレン酸、ALA)が豊富に含まれています。このオメガ3脂肪酸は、抗炎症作用を持ち、関節炎や皮膚の炎症を軽減する効果があります。

また、亜麻仁は食物繊維も含んでおり、消化を助け、腸内環境を整える役割を果たします。さらに、亜麻仁には抗酸化物質やリグナン(抗菌・抗ウイルス作用があるとされる成分)も含まれており、体内の酸化ストレスを軽減し、全体的な健康維持をサポートします。

亜麻仁は皮膚や被毛の健康にも良い影響を与え、毛艶を改善し、乾燥やかゆみを抑える効果があります。また、心血管系の健康をサポートし、免疫力の強化にも寄与します。

チアシード

チアシードには、たんぱく質、食物繊維、抗酸化物質、カルシウム、鉄分、マグネシウム、ビタミンB群、オメガ3脂肪酸が含まれています。

免疫システムを強化し、肌や被毛の質を向上させ、関節や腸の健康をサポートします。また、血糖値や満腹感を調整するのに役立つため、減量を目指す犬に適しています。

ヘンプシード

すべての必須アミノ酸を含むタンパク質源としてベジタリアンやヴィーガンフードに採用されているヘンプシードは、ビタミンE、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛などのミネラルが豊富に含まれ、アトピーなどの皮膚疾患にも有益なスーパーフードです。注目すべきは、そのオメガ3含有量です。大さじ6杯で6703ミリグラムのα-リノレン酸(ALA)を含んでいます。

キヌア

一般的に穀物と考えられがちですが、キヌアは実際にはホウレンソウの仲間である種子です。キヌアは、すべての必須アミノ酸を含むタンパク質であり、強力な抗酸化物質で、食物繊維、葉酸、マグネシウム、鉄分、リンなどが豊富に含まれています。また、GI値が低く、食後の血糖値が上がりにくい為、糖尿病のリスクを減少させる助けになります。

キヌアにはサポニンという物質が含まれており、これが植物を害虫から守る役割を果たしますが、腸の刺激を引き起こす可能性があります。しかし、キヌアに含まれるサポニンの量はごく微量であり、問題を引き起こすことはほとんどありません。

緑イ貝

緑イ貝はニュージーランド産の貝で、犬の健康にさまざまな利点をもたらすスーパーフードです。主にオメガ3脂肪酸(EPA、DHA)を豊富に含み、抗炎症作用があり、関節炎や関節の痛みを軽減する効果があります。

また、グリコサミノグリカン(グルコサミンやコンドロイチン)を含んでおり、関節の軟骨を保護し、関節の可動性をサポートします。さらに、緑イ貝は亜鉛、銅、マンガンなどのミネラルやビタミンC、Eを多く含み、免疫力を高め、皮膚や被毛の健康を促進します。

高品質なタンパク質も豊富で、筋肉の修復や健康維持にも役立ちます。

海藻(ケルプ)

海藻には抗酸化、抗炎症、アンチエイジング、抗がん効果があるとされています。また、海藻にはタンパク質、水溶性食物繊維、ビタミンC、E、豊富なビタミンB群、亜鉛や銅などのミネラルが含まれています。

さらに、EPAとDHAを含む珍しい植物性食品であるだけでなく、あまり知られていないステロールやクロロフィルも含まれており、代謝を良くするのに役立つ可能性があります。

ターメリック

ターメリック(ウコン)はその栄養的および薬効特性で何世紀にもわたって使用されてきましたが、最近になって犬用スーパーフードとして認識されるようになりました。

ターメリックに含まれるクルクミンという化合物は、抗酸化物質が豊富で、抗炎症、抗ウイルス、抗菌、抗真菌特性を持っています。ターメリックはサプリメントによく含まれており、がん予防、肝臓のサポート、消化機能の改善、関節痛の軽減に効果があるとされています。

サツマイモ

サツマイモはβカロテンが豊富で、ブルーベリーの150%もの抗酸化物質を含んでいます。サツマイモはまた、心臓に良いビタミンAが非常に豊富で、犬の免疫システムを強化するビタミンCも含んでいます。

サツマイモは、食物繊維の供給源となる優れた食材であり、消化器系の機能をより効果的にするのをサポートします。食物繊維を摂取することで、心臓病や特定の種類のがんのリスクを下げることができます。

ブロッコリー

ブロッコリーは、健康的な消化を助ける食物繊維が豊富です。また、カリウム、カルシウム、たんぱく質、ビタミンCなどの有益な栄養素も多く含んでいます。

ただし、ブロッコリーのようなアブラナ科の野菜にはゴイトロゲン化合物が含まれており、甲状腺機能亢進症を引き起こす可能性がある為、甲状腺疾患を持つ動物にブロッコリーを与えないことを推奨しています。

ケールやほうれん草

この強力な葉物野菜には、ビタミンA、E、Cをはじめとする多くのビタミンが含まれています。ケールは抗酸化物質の優れた供給源であり、肝臓の解毒作用をサポートします。また、抗炎症作用もあります。ただし、犬が膀胱結石や腎疾患を持つ犬に対しては摂取を避ける必要があるかもしれません。

ニンジン

ニンジンは食物繊維が豊富で、免疫力を高め、目の健康をサポートし、被毛や皮膚の改善に役立つβカロテンを含んでいます。ニンジンにはカロテノイド、食物繊維、ビタミンCやK(傷の治癒を助ける血液凝固を促進)に加え、カリウムが豊富に含まれています。また、マグネシウム、マンガン、ビタミンB群、エネルギー産生に必要なリンも含まれています。

スイカ

スイカは栄養豊富なスーパーフードで、抗酸化物質、アミノ酸、ビタミンA、B、C、カリウム、マグネシウムを含みます。

ベリー類

ベリー類は抗酸化物質を多く含んでいます。抗酸化物質は体内のフリーラジカルを中和し、細胞を守る働きがあります。これにより、加齢による身体の衰えや、環境ストレス(例えば紫外線や化学物質)から犬を守ることができます。抗酸化作用は免疫系の強化にもつながり、病気の予防や回復をサポートします。

ココナッツオイル

ココナッツオイルは消化機能や免疫機能の改善など様々な効果があるとされています。これらの多くの利点は、ココナッツオイルに含まれる中鎖脂肪酸からもたらされています。この中鎖脂肪酸には、体重減少の促進、エネルギー質の向上、さらには発作や認知機能低下の抑制をもたらすとされています。