次世代の健康志向ペットフードにおいて、注目すべき食材が「亜麻仁(フラックスシード)」です。スーパーフードとして知られる亜麻仁は、オメガ3脂肪酸や食物繊維を豊富に含み、犬の健康に多くのメリットをもたらします。

本記事では、亜麻仁が犬に与える6つの効果について詳しく解説し、ペットフード製品としてどのように取り入れることで市場のニーズに応え、差別化を図ることができるのかをお伝えします。健康志向の飼い主が増える中、亜麻仁の効果を活かした製品開発を検討してみてはいかがでしょうか。

亜麻仁とは?

亜麻仁(フラックスシード)は、アマ科の一年草という種類に属します。この植物は、もともとエジプトのナイル渓谷で繊維や織物に利用するために栽培されていました。しかし現代では、この植物は多くの用途で利用されており、以下のようなものが挙げられます。

  1. 繊維製品
    リネン素材のベッドシーツ、下着、テーブルクロスなどが作られます。リネンは亜麻の茎の繊維から作られる織物で、この繊維は綿製品の2~3倍の強度を持つことで知られています。
     
  2. 木材保護剤
    フラックスシードから抽出される亜麻仁油(リネンオイル)は、木材のニスに代わる環境に優しい選択肢です。耐水性があり、木材を外部環境から保護します。
     
  3. 栄養補助食品
    亜麻仁油(フラックスシードオイル)は、人間や犬にとって有益な特性を持っています。

フラックスシードはまた、塗料、染料、石鹸、インク、さらには床材にも使われます。ただし、本記事ではその健康と食事面での利点に焦点を当てていきます。

犬は亜麻仁を食べれるのか?

はい、犬は亜麻仁を食べることができます。亜麻仁は犬の食事に少しずつ取り入れることで、胃の不調を避けることができます。種を与える場合は粉末状にして与える事をお勧めします。

そのままの種を与えると、犬の消化器を通過するだけで、栄養素のほとんどが吸収されず、何の利益も得られません。種は消化されず、摂取したときと同じ形で排泄されるため、そのままの種子を与えるのはお勧めできません。

一方、粉末状にすることで、亜麻仁の利益を犬が享受できるようになります。粉末状にした亜麻仁をトッパーとして利用したり、サプリメントとして与えたりすることができます。しかし、粉末状の亜麻仁は短期間で酸化してしまうため、注意が必要です。

いくつかのドッグフードメーカーが亜麻仁をドッグフードの原材料として取り入れていますが、まだまだ一般的ではありません。

亜麻仁に含まれる栄養素

フラックスシードの健康上の利点を理解するには、その成分構成を理解することが重要です。具体的に亜麻仁にはどのような成分が含まれており、それが犬の健康にどのように役立つのでしょうか?

オメガ3脂肪酸

亜麻仁を語る際、一番注目したいのがオメガ3脂肪酸です。オメガ3脂肪酸は、炎症を軽減し、がんのリスクを減らす可能性があり、脳機能を高めるなどの効果が期待できます。

亜麻仁のオメガ3は、α-リノレン酸(ALA)を提供し、これはEPAやDHAに変換されます。これらは脳の健康、知能、うつ病、その他の健康問題に好影響をもたらす多価不飽和脂肪酸です。

また、オメガ3脂肪酸は抗炎症効果を提供し、血圧低下、心臓の健康維持、関節炎などによる関節痛の軽減にも役立ちます。

水溶性食物繊維

腸内環境の健康は、現在非常に重要視されています。犬の消化器官(および人間の消化器官)で作られる微生物群は、脳の機能、必須栄養素の処理と吸収、気分にも関係しています。亜麻仁は水溶性食物繊維(プレバイオティクス)が豊富で、これが腸内細菌の餌となります。

チアミン(ビタミンB1)

チアミン(ビタミンB1)は、炭水化物をエネルギーに変える酵素の働きを助けることで、疲労を軽減し、体の活力を高めます。

また、神経信号の伝達をサポートすることで、神経系の健康を保ちます。脳の機能にも影響を与え、集中力や記憶力を向上させる効果があるため、精神的な健康にも寄与します。

銅は犬の体内でさまざまな機能を果たします。銅は骨、コラーゲン、結合組織の形成を助け、鉄の吸収を可能にします。鉄は健康な赤血球に必要です。

マグネシウム

マグネシウムは犬の健康に欠かせない栄養素です。十分なマグネシウムの摂取により、筋肉の再生が速くなります。また、体の筋肉を収縮させたり弛緩させたりする基本的な働きをサポートします。

リン

リンはカルシウムと結合して骨の大部分を構成します。亜麻仁のような自然の食材を通じてリンを摂取することで、吸収効率が良くなります。

犬にもたらす6つの効果

皮膚と被毛の健康

亜麻仁を犬に与える最も大きな理由の1つは、皮膚と被毛の健康を向上させるためです。亜麻仁はオメガ脂肪酸を豊富に含み、オメガ3脂肪酸だけでなくオメガ6脂肪酸であるリノール酸も含みます。

リノール酸は皮膚の保湿をサポートし、治癒を促進し、炎症を軽減します。乾燥したフケ症状や季節性アレルギーに悩む犬の治癒と維持に役立ちます。

抗酸化物質による強力な免疫システム

亜麻仁には抗酸化物質が多く含まれていますが、中でもポリフェノールの一種であるリグナンは、細胞の酸化やフリーラジカルから守る働きをします。

フリーラジカルは細胞の老廃物として自然に体内に発生します。また、タバコの煙、大気汚染、自動車排気ガス、その他の空中微粒子を通じて人工的にも体内に入ります。フリーラジカルは病気や老化を引き起こしますが、それ自体を完全に防ぐことは不可能です。

しかし、抗酸化物質を摂取することで、この老化プロセスを遅らせ、犬が若く健康である時間を長く過ごせるようになります。つまり、亜麻仁の抗酸化作用により、健康的な細胞サイクルが維持され、犬の免疫システムや長期的な健康をサポートします。

消化の助けになる

亜麻仁は健康的な炭水化物として、食物繊維が豊富な食品です。亜麻仁は約30%が炭水化物で、そのうち95%が食物繊維です。

炭水化物を恐れる風潮もありますが、亜麻仁は「良質な炭水化物」の一例です。食物繊維の20%が水溶性食物繊維、80%が不溶性食物繊維で構成されており、水溶性食物繊維は消化速度を調節して満腹感を持続させ、不溶性食物繊維は便の量を増やして健康的な排便を促します。

下痢や便秘に悩む犬には特に効果的です。

関節と関節痛のケア

サイズ、年齢、遺伝などにより、多くの犬が関節炎や結合組織の損傷による関節の炎症は激しい痛みを引き起こすことがありますが、亜麻仁に含まれるオメガ脂肪酸が炎症を軽減し、痛みを和らげ、犬の活動をサポートします。

亜麻仁に最も多く含まれるオメガ3脂肪酸であるα-リノレン酸(ALA)は、それ自体で抗炎症作用を持つだけでなく、EPAやDHAといったさらに効果的な脂肪酸に変換されることがあります(EPAやDHAは魚油の方が豊富です)。

5. 脳の健康、認知力

犬が十分な量のALA(α-リノレン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)を摂取することで得られる恩恵は言うまでも有りません。

DHAは脳の主要な構成要素の一つであり、子犬の成長期における健康的な発達や、高齢期における機能的な使用に重要です。亜麻仁には、α-リノレン酸が豊富に含まれており、犬の体内でDHAに変換されます。

6. 副腎の問題に役立つ

犬の副腎は、腎臓の隣に左右1つずつある小さな臓器で、生命維持に欠かせない生理機能を担っています。副腎には、皮質と髄質という2つの層があり、皮質からはコルチゾール、アルドステロンや性ホルモンが、髄質からはカテコールアミンが分泌されています。

犬は年をとるにつれ、この副腎がホルモンを十分に生産しなくなると考えられています。これにより、活力やアドレナリンが低下するだけでなく、脱毛や食欲不振といった問題も発生することがあります。

亜麻仁を摂取することで、高齢犬の副腎の問題をサポートできることが示されています。また、亜麻仁はリグナンを提供します。このリグナンは植物由来のポリフェノール(抗酸化物質)の一種で、がんを予防する効果があると示唆されています。

亜麻仁 vs 亜麻仁油

亜麻仁の効果を手軽に得たい方には、亜麻仁油が最適です。このオイルは種子から抽出され、犬にとって健康的で栄養価の高い栄養補助剤となります。

亜麻仁油は、亜麻仁の種と同様の効果を多く持っていますが、全てではありません。油を抽出すると、皮膚や被毛、関節の健康をサポートするオメガ3脂肪酸は残りますが、食物繊維など種子自体が持ついくつかの特性が失われます。

例えば、抽出過程で水溶性ビタミンや多くのミネラルが失われます。ビタミンEのような脂溶性ビタミンはオイルに含まれますが、ビタミンB1のようなものは含まれません。

亜麻仁油が悪いわけではありませんが、犬のニーズに最適なタイプを選ぶことが重要です。皮膚や被毛のサポートを目的とするなら亜麻仁油が適しており、亜麻仁のすべての効果を得たい場合は、種を使用する方が良いでしょう。