ビートパルプは、ペットフードや家畜飼料に広く使用されている繊維質の原材料で、特に犬の消化器系の健康をサポートする役割を果たしています。

シュガービート(甜菜)から砂糖を抽出した後に残るこの副産物は、腸内環境を整え、大腸粘膜細胞のエネルギー源としても機能します。

しかし、過度に与えすぎるとペットの健康に悪影響を及ぼす可能性もあるため、注意が必要です。本記事では、ビートパルプのメリットとリスクについて詳しく解説します。

ビートパルプとは?

ビートパルプとは、シュガービートから砂糖を抽出した後に残る繊維質のことを言います。日本では、ビートは甜菜(テンサイ)やサトウダイコンと呼ばれています。

ビートパルプは、穀物や干し草などの他の繊維質の代替材料として、馬や家畜の飼料で広く使用されており、特に消化に敏感な馬にとって優れた選択肢となっています。

通常、シュガービートは寒冷地で栽培されます。オーストラリアの一部の農家でもシュガービートを栽培していますが、多くはヨーロッパの国々で砂糖を生産するために栽培されています。

ビートパルプはシュガー(砂糖)ビートから出来るわけですが、糖分やデンプンが多く含まれているわけではありません。加工中にほとんどの砂糖が取り除かれ、繊維質のみが残るからです。

しかし、ビートパルプには、にんじんなどの他の根菜と同程度の糖分が含まれているので、犬が耐糖能異常や糖尿病の場合、ビートパルプを摂取しすぎると問題となる可能性があります。

ビートパルプのメリット

ビートパルプには、水溶性繊維と不溶性繊維のどちらも含まれていますが、水溶性繊維が腸内の善玉菌の栄養となって腸内環境を整える役割があります。

一方、不溶性繊維は犬の小腸で分解されず、体内に吸収されません。一見、この不溶性繊維は有益でないように見えますが、腸に適度に刺激を与えることによって腸の運動を活発にします。そのため、整腸作用があります。

これらの重要な役割を果たすビートパルプがなければ、ペットは下痢や肥満などの健康問題に悩まされるかもしれません。この繊維はまた、心臓病、糖尿病、消化器系の癌などの慢性疾患のリスクを減らすことができるとも言われています。

さらに、ビートパルプは適度に発酵性を持つ繊維であり、過剰な水分を吸収し、犬の腸管から余分な廃棄物を除去しながら、大腸粘膜細胞エネルギー源としても機能します。

ほとんどの繊維質が消化器系の健康に寄与しますが、ビートパルプは適度な発酵性を持つことにより、プレバイオティクス成分としての役割も果たすのです。

ペットフードに使用して良いの?

他の原材料と同様にビートパルプは適量を与えるべきです。繊維源として優れているものの、ペットフードに過剰に含まれてしまうと、健康を維持するために必要なすべての栄養素までも摂取できなくなるからです。

例えば、ビートパルプは価格を抑えるためにペットフードのかさ増し材料として使用されることがあります。このような理由でビートパルプを過剰に使用しているペットフードをペットに与えると、必要な脂肪やタンパク質を摂取できず、全体的な健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、消化器系に問題を抱える一部の犬は、食事に含まれる過剰な繊維に対して良くない反応を示す可能性があります。しかし、適度に与えられる場合、ビートパルプは犬の消化器系の健康に寄与する優れた繊維源です。

一部の人々の間では、ビートパルプにより便中へのタウリン排出量を増やしてしまうという懸念をされています。タウリンは肉に含まれるアミノ酸であり、犬の心臓と目の健康に不可欠ですが、タウリンが欠乏してしまうと、致命的な拡張型心筋症(DCM)を引き起こす可能性があります。

しかしながら、ビートパルプに限らず、他の穀物や野菜の繊維質も同様にタウリン排出量を増やします。ですから、すべての繊維質に対して同じことが言えるので繊維質の与えすぎは注意が必要です。