近年、ペットフード市場ではアレルギー対応や高付加価値志向のトレンドが加速しており、消費者の間で「原材料へのこだわり」が一層強まっています。特に、一般的なタンパク源(鶏・牛・豚など)に対して食物アレルギーを持つ犬が増加していることから、新奇性の高い動物性タンパク源への注目が集まっています。

その中で注目度を高めているのが「ダチョウ肉」です。ダチョウは一般的な家畜とは異なる飼育背景を持ち、犬にとって食べる機会が極めて低いため、アレルゲンになりにくい特性があります。また、高タンパク・低脂肪という栄養バランスにも優れており、ヘルシー志向の飼い主層にも訴求しやすい素材といえるでしょう。

本記事では、こうしたダチョウ肉の栄養的特徴や健康への影響、さらにペットフードの原材料としてどのように活用できるかについて、開発視点から詳しく解説します。差別化商品やアレルギー対応製品の開発を検討するペットフードメーカーの皆様にとって、有益な素材選定のヒントとなるはずです。

ダチョウ肉の基礎情報と原料特性

日本に出回るダチョウ肉は、主にオーストラリア原産のダチョウ(オーストリッチ)から得られる赤身肉で、牛肉に近い見た目と風味を持ちながら、低脂肪・低カロリー・高タンパクという特性で知られています。日本ではまだ一般的ではありませんが、欧州や南アフリカ、豪州、タイなどではペットフード用としての利用も徐々に広がっています。

主な生産国と供給形態

ダチョウ肉の主な生産国は以下の通りです。

  1. 南アフリカ(最大の商業生産地)
  2. オーストラリア
  3. 他のアフリカ諸国

ペットフード用途では以下のような原料形態で流通しています。

原料形態特徴主な用途
冷凍肉(生肉)赤身部分をミンチにしたものドライフード・ウェット・レトルト
乾燥ミール脱脂・加熱乾燥した粉末ドライフード(エクストルーダー対応)
フィレ・内臓部位別供給も可能(心臓、レバー等)機能性トリーツ、限定食などに活用

加工後の色味や香りも癖が少なく、他の動物性原料とブレンドしやすい点も利点です。

高タンパク・低脂肪・低コレステロール

ダチョウ肉は100gあたりのタンパク質含有量が非常に高く、脂質は牛肉や豚肉よりも大幅に低いのが特徴です。また、コレステロール含有量も比較的少なく、健康志向の製品づくりに適しています。以下は一般的な食肉との栄養成分比較です(可食部100gあたり、加熱前ベース)。

項目ダチョウ肉鶏むね肉
(皮なし)
牛赤身(肩)豚赤身
(ロース)
タンパク質(g)21.822.516.519.7
脂質(g)2.651.9326.17.8
コレステロール(mg)約73約73約84約68
エネルギー(kcal)約117約106約293約146
※出典:USDA FoodData Central、文部科学省食品成分表等を基にした参考値

このように、ダチョウ肉は高タンパクで低脂質・低カロリーというバランスの取れた原料であり、ダイエット用やシニア向け、アレルギー対応食など、機能性を重視した商品開発に特に適しています。

犬にとっての健康メリット

ダチョウ肉は、その栄養バランスの優秀さから、単なる新奇タンパク質というだけに留まらず、犬の健康維持・機能性訴求においても非常に優れた原料です。ここでは、ダチョウ肉が持つ3つの主な健康効果について解説します。

筋肉量・活動性を維持

ダチョウ肉はタンパク質含有量が高く、必須アミノ酸もバランス良く含まれているのが特長です。特に、アクティブな犬やシニア犬においては、筋肉量の維持=健康寿命の延伸に直結するため、タンパク質の質と量は製品設計上の重要なポイントとなります。

低脂肪で肥満リスクを抑える

ダチョウ肉は脂質が非常に少なく(約2.65g/100g)、エネルギー量も低いため、体重管理を必要とする犬種やダイエットフード、シニア用設計に最適です。

脂質を抑えつつも風味を損なわない点も特長で、脂質カットによる嗜好性の低下を抑えられるという実務上の利点もあります。また、動物性脂肪に過敏な犬への配慮が必要なレシピでも、ダチョウ肉は脂質負荷を最小限に抑えることができます。

皮膚や免疫系をサポート

ダチョウ肉は、以下のような機能性栄養素を豊富に含んでいます。

鉄分(ヘム鉄)
  1. 赤血球の合成や酸素運搬に必要なミネラル。
  2. 吸収効率の高いヘム鉄が多く含まれ、貧血予防・疲労回復に効果的。
  3. 特に成長期や妊娠中・授乳中の犬に重要。
亜鉛あえん
  1. 皮膚・被毛の健康維持、免疫機能の正常化に関与。
  2. 慢性的な皮膚トラブルのある犬向けの機能性設計にも有用。
  3. 高吸収性の動物由来ミネラルとして、植物由来より有利。
ビタミンB群(特にB2、B6、B12)
  1. 代謝促進、神経機能の維持、皮膚の健康に関与。
  2. B12は特に動物性食品に多く含まれ、植物性にはほとんど存在しないため、ダチョウ肉のような赤身肉原料の価値が高い。

これらの栄養素は、皮膚バリアの強化や免疫系の活性化をサポートし、アレルギー症状の緩和にも寄与する可能性があります。

アレルゲン対策としての優位性

犬の食物アレルギーに対する関心が高まる中、「低アレルゲン性」を訴求できる原料の選定は、製品差別化の大きな武器となっています。特に、従来の動物性タンパク源で反応が出る犬に対応できる代替素材として、新奇タンパク質であるダチョウ肉が世界的に注目されています。

新奇タンパク源としての市場価値

■ 一般的な動物性タンパク源との比較

犬の食物アレルギーで最も多い原因は、「牛肉・鶏肉・乳製品・小麦」などの長期的に摂取されてきたタンパク源です。これらの食材に継続的にさらされたことによって、免疫系が過剰に反応しやすくなると考えられています。

一方で、ダチョウ肉は一般的なドッグフードにほとんど使用されておらず、摂取頻度の少ない個体(犬)が多いため、アレルゲンとして認識されにくいのが大きな特徴です。こうした背景から、新奇タンパク源の中でもダチョウは最も反応リスクの低い素材のひとつとされています。

■ 除去食やエリミネーションダイエット対応原料としての実績

ダチョウ肉はすでに海外(特に欧州・北米・オセアニア)では、動物病院専売や療法食に採用されており、以下のような目的で活用されています。

  1. 除去食試験に使用する主タンパク源。
  2. 単一タンパク源フードの構成原料。
  3. 慢性皮膚疾患・下痢などの管理用フードの主原料としての利用。

これにより、「獣医師が推薦するタンパク源」としての信頼性も担保されており、日本市場でも今後の導入余地は十分にあります。

ダチョウ肉採用による製品差別化の可能性

■ アレルギー対応 × 機能性訴求の同時達成

従来のアレルギー対応製品は「選択肢が限られ、機能性が低い」というイメージがありました。しかしダチョウ肉は、以下のように「健康機能」と「低アレルゲン性」を同時に訴求できる素材です。

訴求軸ダチョウ肉の特長
アレルゲン回避新奇タンパク源としての安全性、除去食実績あり
高栄養価高タンパク・低脂肪・高鉄・高亜鉛・ビタミンB群豊富
嗜好性臭みが少なく赤身風味があり、嗜好性も良好
加工適性ミール・生肉・トリーツなど、幅広い製品形態に対応可能

このように、ダチョウ肉を採用することで、「健康志向のアレルギー対応フード」「プレミアム志向の限定食タンパク製品」といった高付加価値市場への展開が可能です。競合が少なく、パッケージ上での差別化も図りやすいため、ブランド独自の開発テーマとしても有効です。

商品設計・製品化のポイント

ダチョウ肉は機能性・嗜好性・アレルゲン対策の観点から非常に魅力的なタンパク源ですが、実際に商品化する際にはいくつかの戦略的なポイントを押さえておく必要があります。ここでは、ペットフードの製品開発における具体的な活用の方向性をご紹介します。

誰に・どんな悩みに届けるかを明確に

ダチョウ肉は「何でも対応できる」万能素材ではなく、明確なターゲット課題に応じた製品設計により、その特性が最大限に活きます。たとえば以下のような企画切り口が有効です。

製品コンセプト主なターゲットダチョウ肉の活かし方
アレルギー対策用鶏・牛にアレルギーのある犬動物性タンパク源をダチョウ肉に限定
高齢犬・ダイエット用シニア・肥満傾向の犬低脂質・低カロリーで体重管理を支援
高栄養・高嗜好性おやつ健康志向の飼い主層・補助栄養食嗜好性の高さと赤身風味を活かした嗜好設計

原料形状・製品形態の選定

ダチョウ肉は複数の形状で入手でき、加工適性にも優れています。

  1. ドライフード:乾燥ミールをベースに、新奇タンパク源としての訴求が可能。
  2. ウェットフード:冷凍(生)肉使用で、素材感・香りの訴求に向く。
  3. トリーツ・ジャーキー:フィレ部位や心臓・肝臓など副産物も活用可能。

販売戦略・差別化ポイント

  1. ストーリーブランディング:「なぜダチョウなのか?」という背景説明(アレルギー対応、希少性、環境負荷の低さなど)を明確に。
  2. 同時に取り入れる付加価値訴求:グレインフリー、オーガニック原料使用、保存料不使用などと組み合わせることで商品力を強化。
  3. 獣医師監修・機能性表示との組み合わせ:信頼性向上とエビデンス強化につながる。

お問い合わせや相談について

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  • フリーズドライ生肉ドッグフード
  • ドライキャットフード
  • フリーズドライ生肉キャットフード
  • ドッグトリーツ
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