現在、市場には非常に多くのドッグフードやブランドがあり、差別化をするのが難しくなっています。その中でも、今後需要が伸びていくフリーズドライタイプのドッグフードはご存じでしょうか?このフリーズドライは、食材本来の栄養価を保ちながら保存期間を延ばすことができる革新的な技術です。

本記事では、フリーズドライとは何か、その製造プロセス、乾燥フードとの違い、そしてフリーズドライフードが持つ多くの利点について詳しく解説していきます。それだけでなく、フリーズドライ食品の懸念点や安全性についても触れ、製造時のポイントや使用する原料の選定に関する注意点についても解説します。

フリーズドライフードの魅力とその市場動向を理解し、開発や製造にお役立てください。

フリーズドライの市場動向

フリーズドライの市場動向

フリーズドライドッグフードは、ペットフード市場の中でも最も急成長しているセグメントの1つです。Zion Market Researchによると、2018年のフリーズドライペットフードの世界需要は約2億7,700万USDドルでした。彼らの予測では、2025年までにこの数字は倍増し、5億2,500万USDドルに達するとされています。

ただし、この数字はペットフード市場全体と比べるとほんのわずかな部分です。2021年のタイ市場だけでも、ペットに約13.5億ドルが費やされています。しかしながら、今後ますます多くのペットフードメーカーがフリーズドライの開発&製造に着手するのはほぼ間違いないでしょう。

フリーズドライとは何か?

フリーズドライの起源は古代インカ帝国まで遡り、アンデス山脈の先住民が保存食チューニョを作る為に用いられてきた製法です。アンデス山脈特有の昼夜の寒暖差を利用して、水分を絞り出し、天日干しを繰り返すことでフリーズドライさせて、ジャガイモを保存できる技術を編み出したと言われています。

さらに第二次世界大戦では、フリーズドライ技術が血漿やペニシリンの保存にも役立ちました。そして、フリーズドライ食品の生産は、1938年にネスカフェから発売されたインスタントコーヒーが起源とされています。

現代のフリーズドライ製法

フリーズドライフードは凍結乾燥機で氷点(共晶点)以下で凍結させ、その状態のまま昇華によって水分を除去することで作られます。実際、これは単純に乾燥させるというよりも、凍結させてから真空状態にして乾燥させるといったイメージです。

もう少し詳しく説明すると、まず食材を凍結させて水分を氷(個体)にします。そして、真空装置によって減圧させることで、非常に低い温度で氷(個体)から水蒸気(気体)に変化させることができます。液体になる工程を経ずにです。これを昇華と呼びます。昇華の際に発生する水蒸気は、コールドトラップによって蒸気を凝縮し凍らせて、機械の内壁に付着させます。

このフリーズドライ製法によって食材から水分を除去するので、食材にはほとんどの水分が含まれておらず、保証分析値では水分が約5〜10%です。(冷凍生肉の水分は70%以上です。)しかし、食材の栄養素はほとんどそのまま保持されます。

フリーズドライと乾燥フードの違い

フリーズドライと乾燥フードの違い

最大の違いは、フリーズドライ食品は、ローフードと同様の栄養価が保持されるということです。これは脱水または乾燥された食品には当てはまりません。フリーズドライは乾燥フードと同じように聞こえるかもしれませんが、この点で明確な違いがあります。

乾燥フードの技術は、一般的に食材から水分を除去する方法です。しかし、水分を除去する方法として熱が加えられます。ある製造業者は、乾燥フードは調理されていないと主張しますが、実際は低温で調理されています。そのため、食品のストラクチャーが変わり、本来の栄養素が損なわれてしまいます。

ほとんどの企業は、乾燥フードにおける調理温度を開示していません。というのも、消費者に商品の栄養素がそのままであるかのように思わせたいからです。しかし実際は、乾燥フードと呼ばれるものは約60-80度の温度で調理されています。したがって、乾燥フードというのは生食品やフリーズドライ食品とは一線を画します。

一方、乾燥フードの利点は、熱が加えられるため生食品またはフリーズドライ食品よりも病原体が少ないということです。

フリーズドライの栄養価が高い理由

フリーズドライ食品が他の食品(冷凍食品を除く)よりも栄養価が高い理由について解説します。

食材本来の栄養素が維持される

フリーズドライは食材の栄養素を変性させません。基本的に、一度卵焼きを作ったら生卵の状態に戻すことはできませんし、ドライドッグフードも同じで食材を元に戻すことはできません。このように、一般的な調理方法だとタンパク質などは変性してしまい、食材本来の栄養素が損なわれてしまいます。

しかし、フリーズドライ食品は、ローフードと同様にタンパク質、アミノ酸、および他の栄養素が維持されます。他にも、酵素、脂肪、およびプロバイオティクスなどの重要な成分もそのまま保たれます。

一方、フリーズドライ製法によって減少する栄養素の1つがビタミンCです。しかし、それはあまり心配する必要はないでしょう。というのも、犬や猫は自分自身でビタミンCを生成することができるからです。ですから通常、食事からビタミンCを摂取する必要はそこまでありません。

でんぷんの添加率が低い

基本的に、フリーズドライには栄養価の低い原材料(でんぷんなど)を多く含む必要がなく、高品質な原材料だけ使って作られる為、栄養価の高い製品になります。にもかかわらず、いくつかのフリーズドライ食品にはでんぷんが多く含まれている場合がありますが、これはコストを抑えるための配合です。

ちなみに多くのドライフードには、キブルを形成させるという主な理由もありますが、上記で述べた理由で、穀物、豆類、およびその他のでんぷんが多く含まれていることがあります。

フリーズドライが持つ多くの長所

フリーズドライが持つ多くの長所

フリーズドライフードは豊富な栄養素を含むだけでなく、他にも多くのメリットがあります。

嗜好性が高く、食感を変更できる

フリーズドライ製法では、食材が元々持っている栄養素や旨み成分が多く保持されます。水分がほとんどないため、そのまま食べると素材の美味しさが凝縮された風味を楽しむことができます。

さらに、フリーズドライ特有のサクッとした食感で嗜好性を高めてくれます。逆に、水を加えれば柔らかい食感になるので、犬の好みに合わせて食感を変えることができます。

長期間の保存が可能

フリーズドライ食品は原材料の栄養価だけでなく高い嗜好性を保持しながら、少なくとも1年間の長期保存が可能です。長いものだと約5年間の長期保存が可能です。というのも、フリーズドライ食品は、微生物が生存するために必要とする水分をほとんど含まない為、長い間保存することができるというわけです。

※開封して空気に触れてしまうと、ほとんどの場合、1-3か月で食べきるよう推奨されています。

消化性に優れている

フリーズドライフードは、タンパク質の消化率についても非常に優れていることが報告されています。高品質な原材料と最小限の加熱処理により、胃に優しく吸収しやすくなります。

その結果、フリーズドライ製法で作られたドッグフードを食べる犬は、未消化タンパク質によって発生する糞便中の有害物質アンモニアが低減したり、下痢などの消化器の問題が低減する可能性があるとされています。

軽さによる利便性

冷蔵や冷凍が必要な生肉と比べると、フリーズドライフードはドライフードと同じくらいの利便性を兼ね備えています。例えば、犬と一緒に旅行する場合、フリーズドライフードは水分が抜けて非常に軽いので持参するのが非常に簡単です。

また、冷凍食品が移動中に溶けて腐敗するのを防ぐために、車内に大きなクーラーボックスを収納する必要もありません。軽量なので、犬にバックパックを持たせて自分の食事を運んでもらうことだってできます。

フリーズドライ唯一の短所

フリーズドライフードの欠点を挙げるとすれば、それは製造コストです。実際に店頭に置かれているフリーズドライ食品は、乾燥フードやその他のペットフードと比べると非常に高価なことが分かります。では、なぜそんなに高いのでしょうか?

それは、凍結乾燥機自体が高価であることもそうなのですが、フリーズドライ製法自体も高価だからです。何故なら、フリーズドライフードの製造時間が非常に長く、これがフリーズドライ食品が高価になる大きな要因です。1バッチのフリーズドライ食品を製造するのに約2日間かかります。

仮に時間を短縮して製造してしまうと、食品の一部に水分が残ってしまい、先述したフリーズドライの長所である「軽さ」や「長い保存期間」等を保持することができません。

フリーズドライの安全性

まずフリーズドライを製造する上で重要なことは、ロー(生)フードと同様に高品質な原材料を使用する必要があります。その場合、犬のフリーズドライ食品に有害な細菌が含まれる心配はないでしょう。

もともと犬や猫は人間よりも細菌に耐性があります。肉食獣である犬や猫の胃液のpHは1〜2と強酸性であるため、一般的に人間を病気にする細菌のほとんどは犬や猫には影響しません。散歩中に犬が道に落ちている食べ残りを食べてしまっても病気にかかりませんよね。さらに野生では、動物の死骸さえ食べることもあるわけです。

しかし、多くのメーカーは依然として高圧殺菌処理(HPP)をフリーズドライ食品に使用しています。高圧殺菌処理が行われるようになったのは、アメリカの食品安全近代化法がペットフードにも適用されるようになった為です。

これにより、多くのペットフード製造メーカーがコストのかかる不必要なリコールに追い込まれているのが現状です。これらのことから、ほとんどのメーカーが高圧殺菌処理を採用している為、細菌感染の心配はないと言っていいでしょう。

その名の通り高圧殺菌処理とは食品に高圧力をかけることで病原体を排除する殺菌方法です。しかし、それは食品を加工することではありませんし、研究によればわずかな栄養素の損失しかないと言われています。

製造する際のポイントや注意点

製造する際のポイントや注意点

フリーズドライドフードを製造する際、生食と同等の栄養価を保持しなければフリーズドライを製造する利点が半減してしまいます。

完全な栄養を含むこと

もしフリーズドライフードを総合栄養食として開発する場合は、AAFCOまたはFEDIAFに準じたものを製造できることを確認してください。

というのも、多くのフリーズドライフードはトッピング用として開発・製造されていることが多いからです。誤解を生まないように事前に製造側と密接なコミュニケーションをしておくことが大切です。

使用する原料の厳選

次に、良質なフリーズドライフードを作る為、以下のような原料を検討してください。

  • 主要原料としての高品質の動物性たんぱく質(肉、鶏肉、または魚)
  • GMOフリーやオーガニックフード
  • 肝臓、心臓、腎臓、膵臓、脾臓などの臓肉
  • 骨または骨粉(カルシウム)
  • オメガ3脂肪酸
    通常、魚油、亜麻仁、チアシード、またはヘンプシードなどに含まれています。ほとんどのフリーズドライフードにはこれらのオイルが含有されています。
  • 野菜と果物
    理想は有機物で、でんぷん質の低い野菜や果物を選んでください。
  • その他の添加物
    一部の食品には、プロバイオティクス、ワカメ、リンゴ酢などの添加物が含まれています。食物ベースの自然な添加物を探してください。

原材料選定時の注意点

フリーズドライフード製造において避けたい原材料がいくつかあります。

ビタミンやミネラル添加物

基本的にフリーズドライフードは原材料の栄養素だけで十分です。ですから、製造工場から提案された原材料リストにビタミンやミネラルの添加物が含まれている場合は、原材料の栄養素が低いからかもしれません。

さらに、タウリンが含まれていないか確認も必要です。基本的にほとんどの肉や臓肉には豊富なタウリンが含まれており、タウリンを添加する必要はありません。

高い脂肪含有量

一部のフリーズドライフードは高い脂肪率を含んでいます。脂肪は犬の重要な栄養素ですが、ドッグフード内の脂肪は10〜20%が適正です。高脂肪含有量は他の重要なビタミンやミネラルを損なう可能性があるので、30%以上の脂肪を含む配合は避けるのが良いでしょう。

でんぷんの含有率

栄養価の高いフリーズドライタイプのドッグフードには、そこまで多くの(炭水化物を追加する)でんぷん質の原料を含む必要がありません。製造メーカーや獣医師と相談しながらでんぷんの配合量を決めましょう。

  • ひよこ豆、レンズ豆などの豆類
    潜在的に有害なレクチンを含んでいます。
  • 小麦、トウモロコシ、オーツ麦、大豆、キヌアなどの穀物
  • ジャガイモ、サツマイモ、キャッサバ
  • ニンジンなどの甘い根菜
  • ひよこ豆粉やエンドウ豆粉などの代替品
  • カボチャ属の実
    バターナッツなどの冬物のかぼちゃ属は、ズッキーニなどの夏物のそれよりも炭水化物が2〜3倍多いとされています。

タイで実施するOEM製造について

当社では、タイでのドッグフードの開発や受託生産(OEM)を提案させて頂いております。

もちろん、これまでご紹介してきたフリーズドライタイプのドッグフードやキャットフードのOEM開発が可能です。その他にも、タイでOEM製造する多くの利点があるので、以下にご紹介します。

※ニュージーランドにおけるフリーズドライのOEM製造も可能です。

ペットフード輸出大国としての実績

TPFA(タイペットフード貿易協会)によれば、2021年にはタイの輸出額が前年比27%増の650億バーツ以上となり、世界第3位のペットフード輸出国となりました。

タイ産ペットフードの輸出先である上位5か国は、アメリカ、日本、イタリア、マレーシア、およびオーストラリアであり、インド、インドネシア、ラオスなどのアジア諸国でもタイ産ペットフードの需要が増えてきています。

タイ産ペットフード輸出の着実な成長は、2022年7月時点で既に43%増加(前年比)しており、さらなる加速が見られています。

TPFAの会長であるチャニント・チャリサラポン博士によれば、人間用ツナ缶製造における長年の経験(世界で生産されるツナ缶の約2割がタイ産)も、ウェットペットフード製造の拡大に寄与すると述べられており、タイでのウェットフードの生産も活発になってきています。

高品質な原材料の入手のしやすさ

タイのペットフードで使用される原材料(新鮮で高品質な肉、穀物、魚介類)の95%は地元で調達され、これが同国の生産と世界貿易での成功をさらに促進しています。

というのも、タイは多様な気候と土地を有しており、穀物、野菜、果物といった様々な農産物が生産されています。

さらに、タイでは畜産業も盛んであり、新鮮で高品質な肉(ヒューマングレード)が入手できるだけでなく、タイが海に面していることから豊富な魚介類の資源(ヒューマングレード)もペットフードに利用されています。

コスト面での利点

タイは、生産コストが比較的低いことで知られています。これは、日本や欧米諸国と比較すると安い労働者の賃金や原材料調達のしやすさが影響しています。

これは、これから新規ペットフードを開発しようとしている企業様にとって、とても魅力的なポイントであると言えます。というのも、製造コストの低減は製品価格を抑え、市場での競争力を高める手助けとなるからです。

よくあるご質問について

Q
レシピ内容は希望通りに製造できるでしょうか?
Q
タイのOEM製造で使用する原材料の品質について
Q
タイOEMメーカーの製造設備について
Q
タイでの品質管理体制について
Q
問合せから実際に商品が完成するまでどのくらいの期間がかかるでしょうか?
Q
発注してから納品までの期間はどのくらでしょうか?

お問い合わせや相談について

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当社のOEMサポートに関するお問い合わせや相談は、どんなことでも構いませんのでご気軽にご連絡くださいませ。

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当社では、お客様との密なコミュニケーションを大切にし、プロジェクトの成功に向けて最大限のサポートをさせて頂きます。