海外OEMでペットフードブランドを立ち上げる際、多くの企業が最初につまずくのは「いつから動き始めるべきか」「どの工程にどれくらい時間がかかるのか」が見えにくい点です。

国内OEMであれば、工場との打ち合わせ、試作、修正、本生産までを比較的短いサイクルで進められることがあります。一方、海外OEMでは、工場選定、処方開発、試作品の国際輸送、製造枠の確保、輸出書類、海上輸送、動物検疫、税関申告、日本語表示、販売チャネル準備が連動します。

そのため、単純に「製造に何カ月かかるか」だけでスケジュールを組むと、販売開始時期が後ろ倒しになりやすくなります。実務上は、工場選定を本格化するM0から販売開始まで12カ月前後、事前の構想設計を含めると15〜18カ月程度を見込んでおくと、無理のない計画を立てやすくなります。

本記事では、ペットフードメーカー、D2Cブランド、新規参入企業の企画・商品開発担当者に向けて、海外OEMによるペットフードブランド立ち上げの工程を、12カ月+事前準備3カ月のロードマップとして整理します。

この記事で分かること

  • 海外OEMでペットフードブランドを立ち上げる際に必要な、企画・工場選定・処方開発・本生産・輸入・表示・販売準備の全体像。
  • 工場選定を本格化するM0から販売開始までの12カ月と、その前に必要な3カ月の事前準備。
  • 日本向け輸入ペットフードで確認すべき、ペットフード安全法、動物検疫、植物検疫、税関申告、表示ルールの基本。
  • 国内OEMと海外OEMでリードタイムが異なる理由。
  • スケジュール遅延を防ぐために、ブランドオーナーが早期に判断すべき実務論点。

海外OEMのリードタイムが長くなる理由

海外OEMのスケジュールが長くなる理由は、単に「海外工場だから製造が遅い」ということではありません。むしろ、各工程の間に発生する確認待ち、書類待ち、サンプル輸送待ち、船積み待ち、検査待ちが積み重なることが主な要因です。

国内OEMでは、製品仕様が明確で、工場の製造枠が空いており、既存処方を活用できる場合、処方確定から初回ロット完成までの期間を比較的短く抑えられることがあります。

一方、海外OEMでは次のような追加論点が発生します。

  • 工場との言語・時差・商習慣の違い
  • 原料の入手性、原産国、認証情報の確認
  • 試作品の国際輸送と評価結果の往復
  • 最小製造ロット(MOQ)と製造枠の確保
  • 輸出国側の衛生証明書や成分分析書の準備
  • 日本側の動物検疫・税関申告
  • ペットフード安全法および公正競争規約を踏まえた日本語表示

特にペットフードは、単なる一般雑貨ではありません。犬・猫用ペットフードは日本のペットフード安全法の対象であり、輸入品の場合は、原料構成や製造国、加工方法によって動物検疫の確認が必要になることがあります。

このため、海外OEMでは「処方が決まってから規制確認を始める」のではなく、「製造国・原料・製品形態を検討する段階から規制確認を並行する」ことが重要です。

国内OEMと海外OEMの工程比較

工程国内OEMの目安海外OEMの目安海外OEMで注意すべき点
企画・仕様整理1〜2カ月2〜3カ月製造国、原料、規制、輸入可否を同時に確認する
工場選定・条件交渉1〜2カ月2〜4カ月NDA、MOQ、輸出実績、認証、支払い条件の確認が必要
処方開発・試作2〜4カ月3〜6カ月試作品輸送と修正サイクルに時間がかかる
本生産1〜2カ月1〜3カ月製造枠の予約、包材手配、輸出前検品が必要
輸送不要または国内配送2〜6週間製造国、港湾状況、船便頻度で変動する
動物検疫・通関通常は輸入工程なし2〜4週間以上原料構成、書類不備、検査内容で変動する
日本語表示・販売準備1〜2カ月2〜4カ月表示作成は本生産前から並行する必要がある
合計6〜12カ月程度12〜18カ月程度工程の並行管理が重要

上記はあくまで標準的な目安です。実際の期間は、製品形態、工場稼働状況、初回ロット数量、製造国、原料の検疫条件、表示確認の進み方によって大きく変動します。

事前準備:工場に依頼する前に

海外OEMでは、工場に問い合わせる前の準備が不十分なまま進めると、後工程で手戻りが発生しやすくなります。特に、製品コンセプト、対象動物、販売チャネル、価格帯、原料方針、法規制確認の優先順位を早期に整理しておくことが重要です。

M-3:ブランドコンセプトと製品仕様の骨格を固める

最初に整理すべきなのは、「どのような製品を作りたいか」ではなく、「どの市場で、どの顧客に、どの理由で選ばれる製品にするか」です。

海外OEMでは、工場が提案する既存処方を活用できる場合もありますが、工場任せにすると、自社ブランドとしての差別化が弱くなることがあります。最低限、以下の項目は社内で方向性を決めておくべきです。

  • 対象動物:犬用、または猫用
  • ライフステージ:子犬・子猫、成犬・成猫、シニアなど
  • 製品形態:ドライ、ウェット、フリーズドライ、エアドライ、セミモイスト、おやつなど
  • 目的表示:総合栄養食、一般食、間食、療法食に該当するかどうか
  • 主原料方針:畜肉、魚介、昆虫、植物性タンパク質、グレインフリーなど
  • 価格帯:プレミアム、ミドル、エントリーなど
  • 販売チャネル:EC、専門店、卸、小売、動物病院、サブスクリプションなど
注意点

対象が犬・猫以外の動物の場合、ペットフード安全法の前提が異なる可能性があります。犬・猫用以外を扱う場合は、同じ規制整理で進めず、製品ごとに確認することが重要です。

M-2:規制・輸入可否の初期確認を行う

海外OEMでは、工場選定と同時に、規制・輸入可否の確認を開始する必要があります。特に犬・猫用ペットフードでは、以下の確認が重要です。

  1. ペットフード安全法の対象となるか
  2. 製造業者・輸入業者としての事業届出が必要か
  3. 表示義務の5項目を日本語で表示できるか
  4. 公正競争規約上の必要表示事項に対応できるか
  5. 動物由来原料が指定検疫物に該当する可能性があるか
  6. HSコード、関税率、消費税、輸入時の諸費用を確認できるか

ペットフード安全法は農林水産省と環境省の共管法令であり、対象は犬・猫用ペットフードです。同法では、輸入業者または製造業者に事業届出が義務付けられています。また、輸入業者・製造業者・販売業者には、業態に応じて帳簿の備付けが求められます。ただし、小売のみの場合など、義務の範囲は業態によって異なるため、実際には管轄の地方農政局や専門家への確認が必要です。

M-1:製造国・工場候補のロングリストを作る

製造国の選択は、コストだけで決めるべきではありません。原料調達力、輸出実績、品質認証、日本向け書類対応、輸送距離、ロットサイズ、産地イメージを総合的に判断する必要があります。

製造国・地域主な強み主な留意点
ニュージーランド畜肉原料、クリーンイメージ、高付加価値訴求MOQ、製造コスト、輸送費
オーストラリア農畜産物基盤、品質イメージ検疫条件、製造枠、原料認証
カナダ北米基準、機能性素材、ドライフード実績輸送距離、ロットサイズ、為替
タイアジア市場向けコスト構造、魚介原料、缶詰・ウェット系実績工場ごとの品質管理水準、表示・書類対応力
欧州FEDIAF基準、プレミアム商材、有機・機能性製品輸送費、MOQ、EU規制と日本規制の差異

この段階では、候補国を1つに絞り込むよりも、製品コンセプトに応じて2〜3カ国を比較する方が現実的です。

〜M3:工場選定と処方開発

M0からは、工場候補との具体的なやり取りに入ります。このフェーズは、海外OEMの成否を左右する重要な段階です。

M0:工場候補のショートリスト化とNDA締結

工場候補を比較する際は、単に製造単価だけで判断しないことが重要です。安価な見積もりでも、日本向け輸出経験が乏しい、必要書類の発行に時間がかかる、表示用の原材料情報が不十分、といった場合には、後工程で大きな遅延につながります。

確認すべき主な項目は以下の通りです。

  • 日本向け輸出実績の有無
  • 製造可能な製品形態と実績
  • HACCPに基づく管理体制、ISO 22000、BRCGSなどの認証
  • 第三者監査・第三者検査への対応可否
  • MOQ、試作費、本生産単価
  • 原材料情報、成分分析書、衛生証明書等の提供可否
  • トラブル時の対応方針

品質認証については、取得しているかどうかだけでなく、有効期限、認証範囲、対象ライン、対象製品カテゴリを確認する必要があります。

M1〜M2:処方開発と第1次試作

処方開発では、ブランド側が求めるコンセプトと、工場側が実際に安定生産できる条件をすり合わせます。

確認すべき技術論点は以下の通りです。

  • 粗たんぱく質、粗脂肪、粗繊維、粗灰分、水分などの保証分析値
  • カロリー、給与量、対象ライフステージ
  • AAFCO Nutrient ProfilesまたはFEDIAF Nutritional Guidelinesとの照合方針
  • 水分活性、保存性、賞味期限設定の根拠
  • 酸化防止剤、保存料、着色料、香料の使用有無
  • 原材料名の日本語表示への変換可能性
  • アレルゲン、遺伝子組換え、原産国、認証情報

米国で「complete and balanced」と表示する場合、AAFCOの犬猫用栄養プロファイルへの適合またはAAFCO手順による給与試験が参照されます。一方、日本市場で「総合栄養食」として販売する場合は、日本の表示ルールや公正競争規約との整合性も確認する必要があります。海外工場が提示する英語の栄養基準を、そのまま日本語表示に転用できるとは限りません。

M2〜M3:試作品評価と処方確定

試作品の評価では、嗜好性だけでなく、量産時の再現性、外観、粒サイズ、崩れ、におい、油脂のにじみ、包装適性、輸送耐性も確認します。

海外OEMでは、試作品の輸送、社内評価、修正指示、再試作の1サイクルに2〜4週間程度かかることがあります。修正回数が増えると、販売開始時期に直接影響します。

この段階で、以下の資料を工場から入手しておくと、後工程が進めやすくなります。

  • 仮処方表
  • 原材料リスト
  • 保証分析値の案
  • カロリー値
  • 原料の原産国情報
  • 製造工程の概要
  • 賞味期限設定の根拠
  • 日本語表示作成に必要な情報
実務上のポイント

表示設計はM9以降にまとめて行うのではなく、M2〜M3の段階から初期ドラフトを作成しておくことが重要です。特に印刷包材を海外で作る場合、表示確認が遅れると本生産スケジュールに影響します。

〜M6:本生産準備・品質規格・包材確認

処方が固まった後は、本生産に向けた実務確認に移ります。ここでの確認不足は、製造後のトラブルや輸入時の保留につながる可能性があります。

M3〜M4:品質規格書と商流条件の確定

品質規格書は、工場との合意内容を明文化するための重要資料です。少なくとも以下の項目は確認しておくべきです。

  • 製品名、製品形態、対象動物、目的
  • 原材料名、原料規格、原産国
  • 保証分析値、カロリー、水分活性
  • 微生物基準、サルモネラ等の管理項目
  • 賞味期限、保管条件、輸送条件
  • 包材仕様、容量、印刷方法、ラベル貼付方法
  • 不適合品発生時の対応
  • サンプル保存、ロット番号管理、トレーサビリティ

同時に、商流条件も整理します。FOB、CIP、EXWなどのインコタームズによって、費用負担、保険、リスク移転のタイミングが異なります。CIPは運賃・保険料込み条件であり、FOBは本船渡し条件です。見積金額だけでなく、どの時点から輸入者側が物流リスクと費用を負担するのかを確認することが重要です。

M4〜M5:製造枠、包材、表示案を確定する

海外工場では、製造ラインの予約枠が数カ月先まで埋まっていることがあります。処方確定後に製造枠を探し始めると、販売開始時期が遅れる可能性があります。

本生産前に確認すべき事項は以下の通りです。

  1. 初回ロット数量とMOQ
  2. 製造開始予定日と出荷予定日
  3. 包材の印刷スケジュール
  4. 日本語表示を印刷包材に入れるか、輸入後にラベル貼付するか
  5. 輸出書類の発行者、発行時期、記載内容
  6. 成分分析書、衛生証明書、原産地証明書の必要有無

ここで特に重要なのが、表示設計です。印刷包材に日本語表示を入れる場合、表示内容は本生産前にほぼ確定していなければなりません。一方、輸入後に日本語ラベルを貼付する場合でも、販売開始前に表示内容を正しく整備する必要があります。

M5〜M6:本生産・第三者検査・輸出前確認

本生産時には、製造ロットの管理、完成品検査、輸出前検品を行います。ブランド側は、工場任せにせず、以下の資料の提出タイミングを事前に決めておくべきです。

  • Certificate of Analysis(成分分析書)
  • Health Certificate(必要な場合の衛生証明書)
  • Packing List(梱包明細書)
  • Commercial Invoice(商業送り状)
  • Bill of LadingまたはAir Waybill
  • Certificate of Origin(必要に応じて原産地証明書)
  • 製造ロット番号、賞味期限、出荷数量

輸出書類の不備は、輸入時の保留や販売開始遅延につながります。製造完了後に初めて確認するのではなく、M3〜M4の段階で書類サンプルを確認しておくことが望ましいです。

〜M9:輸送・動物検疫・税関申告

海外OEM特有の工程が、輸送と輸入手続きです。ここはブランド側だけで完結しにくいため、通関業者やフォワーダーとの連携が重要になります。

M6〜M7:海上輸送と書類確認

海上輸送の期間は、製造国、出港地、仕向け港、船便頻度、港湾混雑、季節要因によって変動します。アジア域内であれば比較的短期間で到着する場合もありますが、欧州、北米、オセアニアからの輸入では、輸送だけで数週間を要することがあります。

輸送中に進めるべき作業は以下の通りです。

  • 輸入申告書類の事前確認
  • 動物検疫の要否確認
  • HSコードと関税率の確認
  • 国内倉庫、3PL(サードパーティー・ロジスティクス)、ラベル貼付業者の手配
  • EC商品ページ、販売資料、営業資料の準備

M7〜M8:動物検疫の確認

動物検疫では、動物や畜産物のうち、家畜伝染病の病原体を持ち込むおそれが高いものが指定検疫物として定められています。ペットフードに動物由来原料が含まれる場合でも、すべてが同じ扱いになるわけではなく、動物種、原料の状態、加工方法、由来国によって確認内容が異なります。

指定検疫物に該当する可能性がある場合は、輸出国政府機関が発行する検査証明書が必要となることがあります。したがって、工場選定や処方開発の段階で、動物検疫所や通関業者に確認しておくことが重要です。

M8〜M9:税関申告と国内入庫

税関申告では、HSコード、関税率、消費税、課税価格、原産地、数量、単価などを確認します。犬猫用の小売用ペットフードは、税関の事前教示例では関税率表第23.09項に分類される例がありますが、実際の分類は製品形態、原料、製法、用途、包装形態によって判断されます。

そのため、初回輸入前には、通関業者とHSコードを確認し、必要に応じて税関の事前教示制度を活用することが望ましいです。

国内倉庫に入庫した後は、数量、ロット番号、賞味期限、破損、ラベル貼付状況を確認します。EC販売を行う場合は、販売開始直前に商品ページ上の表示と実際の製品表示が一致しているかも確認しましょう。

〜M12:表示最終確認・販売準備・市場投入

表示設計は本来、M2〜M5から並行して進めるべき工程ですが、M9以降では最終確認と販売準備を行います。

M9〜M10:日本語表示の最終確認

ペットフード安全法では、犬・猫用ペットフードについて、以下の5項目を日本語で表示することが義務付けられています。

  1. 名称
  2. 賞味期限
  3. 原材料名
  4. 原産国名
  5. 事業者名及び住所

また、ペットフードの表示に関する公正競争規約では、上記に加えて、目的、内容量、給与方法、成分などの表示も整理されています。ペットフード公正取引協議会の会員である場合は、同規約に基づく表示が求められます。会員でない場合でも、日本市場で誤認を避けるため、同規約の考え方を参考にすることは実務上有用です。

表示確認で注意すべき項目は以下の通りです。

表示項目主な確認ポイント
名称犬用・猫用が分かるか。商品名だけで誤認がないか。
目的総合栄養食、間食、一般食、療法食などの区分が適切か。
原材料名使用した原材料を添加物も含めて表示しているか。
添加物以外の原材料は使用量の多い順に記載し、その後に添加物を記載しているか。
添加物甘味料、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、発色剤などの用途名併記が必要か。
成分たんぱく質、脂質、粗繊維、灰分、水分などの保証分析値が妥当か。
賞味期限科学的・合理的根拠に基づいて設定されているか。
原産国名最終の実質的な加工工程を完了した国になっているか。
事業者名・住所表示責任者の種別、名称、住所が正確か。
給与方法対象動物、体重、ライフステージに応じた説明があるか。

海外工場から提供される英語の原材料リストは、そのまま日本語に直訳すればよいわけではありません。例えば、natural flavor、animal fat、palatant、preservative、antioxidant などの表記は、実際の原料内容や使用目的を確認したうえで、日本の表示ルールに合う名称へ整理する必要があります。

また、添加物については、酸化防止剤、保存料、着色料、甘味料、増粘安定剤、発色剤として使用される場合、用途名の併記が必要になることがあります。そのため、海外工場から原材料リストを受け取った段階で、各原料の具体名、由来、使用目的、添加物に該当するかを確認しておくことが重要です。

賞味期限についても、海外の “Best before” や “EXP” の日付表記は国によって読み方が異なる場合があるため、日本語表示では消費者が誤認しない形式で記載する必要があります。

M10〜M11:販売チャネルと物流体制の確定

販売開始前には、製品そのものだけでなく、販売体制を整える必要があります。

ECを中心に販売する場合は、以下を確認します。

  • Amazon、楽天、Yahoo!ショッピング、自社ECなどの商品登録
  • 商品画像、成分表、給与量、原材料説明の整合性
  • 倉庫、3PL、FBA等の納品条件
  • 返品、破損、問い合わせ対応フロー
  • 初回レビュー獲得施策
  • 在庫消化計画と次回発注タイミング

特に海外OEMでは、次回ロットのリードタイムが長いため、販売開始後に売れ行きを見てから発注判断をすると、欠品リスクが高くなる場合があります。初回ロット販売開始前から、次回発注の判断基準を決めておくことが重要です。

M12:販売開始とKPIモニタリング

販売開始後は、単に売上を見るだけでなく、次回ロット改善のためのデータを集めます。

  • 初回購入率
  • リピート率
  • 在庫回転率
  • 返品率
  • 破損・クレーム率
  • 嗜好性に関するレビュー
  • 価格に対する反応
  • チャネル別販売効率

海外OEMでは、製品改善の反映にも時間がかかります。販売開始後1〜2カ月の時点で、次回発注数量、表示改善、商品ページ改善、販促施策を検討できる体制を整えておきましょう。

12カ月+事前準備3カ月のタイムライン一覧

フェーズ主な作業マイルストーン
M-3事前設計ブランドコンセプト、対象動物、製品形態、販売チャネルを整理商品企画の骨格を社内合意
M-2規制確認ペットフード安全法、表示、動物検疫、HSコードを初期確認規制論点リスト作成
M-1工場候補調査製造国比較、工場ロングリスト作成、初期問い合わせ候補国・候補工場を整理
M0工場選定NDA、見積、MOQ、認証、輸出実績を確認候補工場2〜3社に絞り込み
M1処方開発製品仕様書を提示し、第1次試作を依頼第1次試作開始
M2試作評価試作品評価、成分値、原材料名、表示初期案を確認修正指示書作成
M3処方確定第2次試作、処方・規格・表示案を調整処方・仕様の仮確定
M4本生産準備品質規格書、発注条件、包材、製造枠を確定発注書・規格書確定
M5本生産製造、第三者検査、輸出書類準備製造完了・書類確認
M6輸送船積み、B/L、インボイス、パッキングリスト確認出航確認
M7輸入前確認動物検疫・通関書類を最終確認日本到着準備完了
M8検疫・通関到着、検疫、税関申告、国内倉庫移送通関・入庫完了
M9表示最終化日本語表示、ラベル貼付、商品ページ情報を最終確認表示・販売資料確定
M10販売準備EC登録、物流、問い合わせ対応、販促準備販売体制完成
M11ローンチ準備初回在庫配置、広告、レビュー施策、営業資料整備販売開始直前チェック
M12市場投入販売開始、KPIモニタリング、次回ロット判断販売開始

この表は標準シナリオです。印刷包材に日本語表示を入れる場合は、M4〜M5の段階で表示内容をほぼ確定する必要があります。一方、輸入後に日本語ラベルを貼付する場合でも、販売開始前の最終表示確認は必須です。

遅延リスクと対処方針

海外OEMでスケジュールが遅れる原因は、特定の工程だけではありません。複数の小さな確認漏れが積み重なり、販売開始時期が数カ月ずれることがあります。

リスク項目発生しやすい時期対処方針
製品仕様が曖昧M-3〜M1ターゲット、価格帯、原料方針、販売チャネルを先に決める
試作修正が長期化M1〜M3評価基準を事前に明文化し、修正回数と期限を管理する
製造枠が取れないM3〜M5処方確定前から暫定スロットを相談する
包材・表示が間に合わないM3〜M6表示設計を処方開発と並行して進める
輸出書類に不備があるM5〜M7書類サンプルを本生産前に確認する
動物検疫で保留M6〜M8製造国・原料・加工方法を初期段階で確認する
HSコード判断が遅れるM6〜M8通関業者と事前確認し、必要に応じて事前教示を検討する
販売開始後に欠品するM12以降初回販売前に次回発注の判断基準を決める

特に重要なのは、規制確認と表示設計を後回しにしないことです。海外OEMでは、製品が完成してから日本側で修正できる範囲が限られるため、初期段階から輸入・表示・販売までを見据えて設計する必要があります。

当社のサポート範囲

当社は、海外OEMによるペットフードブランド立ち上げを検討する企業に対して、製造国・工場候補の整理、初期仕様の設計、輸入・表示に関する論点整理、販売開始までの海外OEMを支援しています。

海外OEMでは、製品コンセプト、製造国、MOQ、処方開発、輸入可否、表示設計、初回ロット数量の判断が複雑に絡み合います。初期段階で全体像を整理できていないと、工場との交渉が進んだ後に「この原料では輸入確認が必要だった」「日本語表示に必要な情報が足りない」「MOQが販売計画と合わない」といった手戻りが発生します。

初回相談では、以下のような論点を整理できます。

  • 自社ブランドの構想に対して、どの製造国・工場タイプが現実的か
  • 初回ロット数量とMOQをどのように考えるべきか
  • 処方開発前に確認すべき規制・表示・輸入上の論点は何か
  • 販売開始までに何カ月程度を見込むべきか
  • 海外OEMと国内OEMのどちらが現在の事業計画に合っているか

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よくある質問

Q1. 海外OEMで最短どれくらいの期間で販売開始できますか?

条件が非常に整っている場合でも、工場選定から販売開始まで12カ月前後を見込むのが現実的です。事前設計、工場候補調査、規制確認を含めると、15〜18カ月程度を想定しておくと余裕のある計画になります。

既存処方を活用し、工場が日本向け輸出経験を持ち、表示・輸入書類の対応にも慣れている場合は短縮できる可能性があります。一方、独自処方、特殊原料、印刷包材、複数SKU展開、初回から大規模流通を予定する場合は、さらに長期化する可能性があります。

Q2. ペットフード安全法の届出は誰が行う必要がありますか?

犬・猫用ペットフードを日本で製造または輸入する場合、製造業者または輸入業者には、ペットフード安全法第9条に基づく事業届出が必要です。また、製造業者・輸入業者・販売業者には、第10条に基づき、業態に応じて帳簿の備付けが求められます。

販売のみを行う場合や小売のみの場合など、届出・帳簿義務の範囲は業態によって異なるため、実際には管轄の地方農政局等に確認してください。

Q3. 動物由来原料を含むペットフードは、必ず動物検疫が必要ですか?

必ずしも一律ではありません。動物検疫の対象となるかどうかは、原料の動物種、部位、加工方法、由来国、製品形態などによって異なります。指定検疫物に該当する場合は、輸出国政府機関の検査証明書などが必要になることがあります。

そのため、処方開発後ではなく、原料候補を検討する段階で、動物検疫所や通関業者に確認することが重要です。

Q4. 日本語表示は海外工場が作成してくれますか?

日本向け輸出経験がある工場であっても、日本語表示の法的確認まで完全に対応できるとは限りません。多くの場合、工場は英語または現地語の原材料情報、成分分析値、仕様書を提供し、日本語表示の設計と確認は輸入者またはブランド側が行います。

特に原材料名、添加物、目的表示、成分保証値、賞味期限、原産国名は、日本の表示ルールに合わせた確認が必要です。

Q5. 初回ロットのMOQはどのくらいですか?

MOQは製品形態、工場規模、包材仕様、原料の特殊性によって大きく異なります。ドライフードでは~10トン単位になることがあり、ウェット、フリーズドライ、トリーツでは別の基準になる場合があります。

重要なのは、MOQだけでなく、販売計画、在庫回転、賞味期限、輸送費、次回発注タイミングを含めて判断することです。初回ロットを小さく抑えすぎると単価が上がり、大きくしすぎると在庫リスクが高まります。

まとめ

海外OEMによるペットフードブランド立ち上げでは、製造そのものよりも、企画、処方、輸入、表示、販売準備をどれだけ早期に並行管理できるかが重要です。

本記事のポイントは以下の5つです。

  1. 海外OEMは、工場選定から販売開始まで12カ月前後、事前準備を含めると15〜18カ月程度を見込むと計画を立てやすい。
  2. ペットフード安全法は犬・猫用ペットフードを対象とし、製造業者・輸入業者の届出、表示、帳簿、成分規格等の確認が必要となる。
  3. 動物検疫は、原料、製造国、加工方法によって判断が異なるため、処方開発の初期段階から確認する必要がある。
  4. 日本語表示はM9以降にまとめて作るのではなく、処方開発・包材設計と並行して進めるべきである。
  5. 製造国や工場は、コストだけでなく、輸出実績、書類対応力、MOQ、品質管理、販売戦略との整合性で評価する必要がある。

海外OEMは、適切に設計すれば、原料調達、製造技術、産地訴求、コスト構造の面で大きな可能性があります。一方で、輸入・表示・規制対応を後回しにすると、販売開始直前で大きな手戻りが生じる可能性があります。

海外OEMによるペットフードブランド立ち上げを検討している方は、工場探しを始める前に、製品仕様、製造国、輸入条件、表示設計、販売開始時期を一体で整理することをおすすめします。

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参考文献・出典
  1. 農林水産省「ペットフード安全法 表示に関するQ&A」
    https://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/petfood/p_qa/hyouji.html
  2. 農林水産省「ペットフード安全法表示チェックシート」
    https://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/petfood/attach/pdf/index-82.pdf
  3. 環境省「ペットフード安全法の概要」
    https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/petfood/outline.html
  4. 環境省「ペットフード安全法Q&A」
    https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/petfood/qa.html
  5. 動物検疫所「輸入畜産物の検査手続」
    https://www.maff.go.jp/aqs/tetuzuki/product/46.html
  6. 植物防疫所「輸入植物検疫」
    https://www.maff.go.jp/pps/j/introduction/import/
  7. ペットフード公正取引協議会「公正競争規約に基づく必要表示事項及び表示制限について」
    https://pffta.org/label/required_fair_competition/
  8. ペットフード公正取引協議会「原材料について」
    https://pffta.org/basic/08.html
  9. FDA “Complete and Balanced” Pet Food
    https://www.fda.gov/animal-veterinary/animal-health-literacy/complete-and-balanced-pet-food
  10. FEDIAF “Nutritional Guidelines for Cats and Dogs”
    https://europeanpetfood.org/self-regulation/nutritional-guidelines/

注意書き

本記事は、海外OEMによるペットフードブランド立ち上げを検討する企業向けに、一般的な実務論点を整理した情報提供記事です。法的助言、規制当局への届出代行、通関判断、検疫判断を行うものではありません。実際の輸入・表示・販売にあたっては、製品ごとの原料、製造国、加工方法、販売形態に応じて、管轄機関、通関業者、専門家に確認してください。