人間の食事では、グルテンフリー、オーガニック、自然由来の食材などが、ここ数十年で大きな変化を遂げました。料理はより新鮮で健康的になり、地元の農場で収穫された食材を使うようになっています。
では、このような健康志向のトレンドは、ペットフードにどのような影響を与えているのでしょうか?本記事では、人間界の食のトレンドがペットフード製造業界にどのように影響を与えているのか、その主要な5つのトレンドと、それぞれの特徴についてご紹介します。
グレインフリー(穀物不使用)
グルテンフリーのラベルは、全国の食料品店で一般的なものとなりました。同様に、ペットフードの陳列棚にもペットフード製品の多くがグレインフリーとなるなど、穀物を使用しないドッグフードの販売が急増しています。
人々の食事が炭水化物やグルテンを避けるようになるにつれて、ペットフードメーカーは穀物をジャガイモ、ひよこ豆、サツマイモなどに置き換えています。しかし、穀物を避けた食事の良し悪しについては明確な結論が出されていません。
例えば、一部の犬は穀物の豊富な食物繊維量から恩恵を受ける一方で、他の犬は食物不耐症やアレルギーを持つ可能性があります。このトピックは、動物の健康に対する長期的な影響を調査・研究が行われるまで、専門家の間で意見が分かれ続けるでしょう。
オーガニック&GMOフリー
オーガニック食品が食料品店で主流になるにつれて、GMOフリー製品も自然食品として注目を集めています。GMO(Genetically Modified Organism)フリー製品とは、遺伝子が組み換えられた原材料を含まない製品のことです。
EUでは、遺伝子組み換え作物を含むすべての製品について、健康に害を及ぼす可能性があると考えられておりますが、具体的な検証結果は無いのが現状です。そのため、予防原則に基づき、特定の規則や制限が適用されています。言い換えれば、安全性についての確固たる結論はまだ出ていないという状況です。
株式会社グローバルインフォメーションの市場調査レポートによると、オーガニックペットフード市場は、2021年に49億9,154万USDドル規模、2028年には90億9,020万USDドル規模に達すると予測され、年平均成長率8.9%で成長すると見込まれています。
オーガニックペットフードは、ペットの人間化が進み、さらにオーガニック製品を購入する消費者は、ペットに対しても同じ購買行動をとる傾向があることから、オーガニック&GMOフリー製品の需要が高まっています。
新奇プロテイン源の活用
最近、ベジタリアンフードが注目を集めている一方で、プロテインの重要性も活発に議論されており、その関心はプロテインの量ではなく種類に向けられています。特に、植物性プロテインが食卓で人気を博しており、人間の食事では魚介類、ナッツ、乳製品の消費率が上がると予測されています。
ペットフードの場合、犬と猫の飼い主たちは、彼らの肉食本能を満たすために、新しいプロテイン源を探し求めています。というのも、これまで多く使用されてきた動物性プロテイン源である鶏肉(チキン)は、すでにペットフード業界では食物アレルギーの主要原因の一つとして認知されているからです。
これに加えて、飼い主たちはペットにさまざまな味を提供したいと考えているため、ペットフードメーカーは、馬肉、ウサギ肉、カンガルー肉、ワニ肉などの新奇プロテイン源を提供し始めています。
地元で調達された原材料
アメリカから始まったファーム・トゥ・テーブル(農場から食卓へ)の取り組みが、今では日本の飲食業界にも浸透し、食品の成分や産地について透明性を求めるようになりました。ペットフード業界でも、2007年の中国産原材料の大量リコール後、特に日本産ペットフードへの関心が高まるようになりました。
日本産と記載された製品でも、しばしば海外から調達されたビタミンやミネラルなどの原材料を含む可能性がありますが、日本産かつ地元調達の原材料をメインに作られたペットフード製品は、日本市場で消費者の注目を集めています。
製造内の最小限加工
インスタント食品、冷凍食品、レトルト食品などの加工食品よりも、店舗で調理された食品を好むようになるにつれて、ペットの飼い主は家族の一員であるペットに対しても最小限に加工された食品を求めるようになりました。
今日のナチュラル志向のペットオーナーは、生肉を使ったドライドッグフード、フレッシュフード、さらにはフリーズドライのペットフードなど、これまでの一般的なペットフードとは違ったペットフードを求めています。
また、多くの消費者は製造過程を開示しているペットフードブランドに魅力を感じています。そのため、ペットフードブランドは、製造業者に対して、かつてないほどの透明性を求めています。