ペットの食物アレルギーに対応した機能性ドッグフード市場が拡大する中で、「新奇タンパク源」としてのエミュー肉が注目を集めています。本記事では、エミュー肉の栄養学的特性、アレルギー対策原料としての可能性、そして商品化に向けた利用ポイントを解説します。
なぜ今、エミュー肉なのか?
アレルギー対応フードの市場ニーズと開発課題
近年、ペットオーナーの間で「食物アレルギー」に対する関心が高まっており、獣医療や栄養管理の現場でもアレルギー対応食のニーズが急速に拡大しています。
とくに犬では、牛肉、鶏肉、小麦、大豆、乳製品といった一般的な原料にアレルギーを示すケースが多く報告されており、既存の動物性タンパク源を使用した従来型製品では対応が難しくなりつつあります。
そのため、ペットフード開発の現場では「既存タンパク源に代わる新規タンパク質」への注目が集まっています。従来の選択肢であったダックやターキー、ラムなども徐々に普及が進み、既に一部の犬で感作(アレルギー反応の発現)が報告されていることから、さらなる代替原料の開発が求められています。
このような背景において、アレルゲン性が低く、かつ栄養価に優れるエミュー肉は、ドッグフード開発における新たな選択肢として大きな可能性を秘めています。
新奇タンパク源としてのエミュー肉
エミュー肉は、オーストラリア原産の大型鳥類エミュー(Emu)から得られる赤身の肉で、牛肉に似た味を持ちながら、低脂肪・高たんぱく・高鉄分といった特性を備えています。
この栄養バランスの良さに加え、エミュー肉が新奇タンパク源として有望視されている最大の理由は、アレルゲンとしての歴史が浅い点にあります。
新奇タンパク質の基本的な考え方として、「犬が過去に摂取したことのないタンパク源を使用することで、アレルギー反応の発現を回避する」という前提があります。
エミューは日本国内はもちろん、グローバル市場でも一般的なタンパク源としては未だ使用例が限られており、感作(免疫系が特定のタンパク質を“敵”と認識する状態)されている犬が非常に少ないと考えられています。
また、飼育環境や飼料による影響が少ない放牧型の畜産が主流であることから、抗生物質やホルモン剤の使用も相対的に低く、ナチュラル志向の商品設計にも適している点も、開発素材としての魅力です。
以上の点から、エミュー肉はアレルギー対応のみならず、機能性志向・希少性志向・ナチュラル志向といった多様なコンセプトに対応できる、次世代型の原材料候補と位置付けられます。
犬にエミュー肉を与えるメリット
アレルギーになりにくい「新奇タンパク源」
エミュー肉の最大の特長は、既存タンパク源であるチキン、ビーフ、ラムなどによるアレルギーに悩む犬に対し、代替肉として利用可能な新奇タンパク源であることです。
一般的に、アレルギーは特定のタンパク質に対する免疫反応によって引き起こされるため、摂取量の多いタンパク源に対して発症しやすく、長年使用されてきた原材料は感作率も高まります。
これに対してエミュー肉は、日本国内でも摂取できる機会が極めて少なく、多くの犬にとって免疫的に未経験なタンパク源であるため、アレルゲンとして認識されにくいという利点があります。
また、交差反応の報告も現時点で非常に少なく、アレルギー対策のフード開発において有効な食材となり得ます。
高たんぱく・低脂肪で体重管理にも◎
エミュー肉は、100gあたり20g前後の高タンパク質を含みつつ、脂質はわずか2-4gと非常にヘルシーな栄養構成になっています(加工部位により差異あり)。これは同量のチキンやビーフと比較しても低脂肪・高たんぱく傾向が顕著であり、ダイエット用や高タンパク処方の機能性ドッグフードの設計にも適しています。
筋肉量の維持が重要なシニア犬や運動量の多い成犬、体重管理が必要な犬種へのフード設計においても、バランスの良い原料として活用が可能です。
鉄分・ビタミンB群が豊富で免疫サポート
エミュー肉は「赤身肉」に分類されることから、鉄分(ヘム鉄)やビタミンB群(B2、B6、B12など)が豊富に含まれています。これらの栄養素は、以下のような重要な生理機能を支えます。
- 赤血球の生成と貧血予防(鉄・B12)
- 代謝機能の維持(B群全般)
- 皮膚・被毛の健康維持、神経系のサポート
とくにビタミンB12や鉄は、シニア犬や慢性的な消化器疾患を持つ犬に不足しやすく、機能性フードの設計では補強対象となる栄養素です。エミュー肉は原料段階でこれらの栄養を自然に供給できるという点で、補助栄養素の添加量を最適化しやすく、処方全体の栄養設計効率を高めることが可能です。
アレルギー対策原料としての優位性
IgE反応を起こしにくい特徴
新規タンパク源としてのエミュー肉の最大の特徴は、IgE媒介型アレルギー反応を引き起こしにくい点にあります。IgEは免疫グロブリンEと呼ばれ、犬の食物アレルギー反応において主要な原因となる抗体です。
特定のタンパク質に繰り返し暴露されると感作が進み、免疫系が過剰に反応し、皮膚炎や下痢・嘔吐などのアレルギー症状が現れる仕組みです。
エミュー肉は、牛肉・鶏肉・ラム肉などの従来タンパク源に対する交差抗原性をほとんど示さないことから、IgEが結合するリスクが極めて低く、新規タンパク源として使用する際のアレルゲン回避効果が期待されます。
実際、エミュー肉は獣医臨床現場における食物除去試験や診断用食においても使用されるケースがあり、初期感作の回避およびアレルゲン除去後の回復期に適した原料としての有用性が高まっています。
皮膚炎・消化器疾患への応用実績
エミュー肉は、アレルギー症状の中でも皮膚疾患や慢性的な消化器疾患に対して使用された実績が複数の海外ブランドにより報告されています。
たとえば、ニュージーランドやオーストラリア発のプレミアムブランドでは、「単一タンパク質」かつ「グレインフリー」設計の処方において、エミュー肉が主要タンパク源として使用されています。
こうした製品は、主に以下のような症状を持つ犬をターゲットにしています。
- 皮膚のかゆみ・発赤・脱毛などのアトピー性皮膚炎症状
- 慢性的な軟便・下痢・嘔吐を繰り返す消化器過敏症
- 食物アレルギー検査後に鶏・牛・ラム等を除去する必要があるケース
また、エミュー肉は脂質構成においてオレイン酸やリノール酸などの不飽和脂肪酸を多く含み、皮膚のバリア機能の改善や抗炎症作用にも寄与する可能性が示唆されています。これにより、スキンケア特化型の処方やデリケートな犬向けの低刺激食への応用範囲が広がっています。
商品設計・製品化のポイント
エミュー肉はさまざまな形態で原料化されており、製品コンセプトや加工ラインに応じて適切な形で活用することが可能です。主な形態は以下の通りです。
フレッシュミート
高い嗜好性を活かしたウェットフードや冷凍生食、プレミアムドライへの配合に最適です。加熱工程の初期投入材としても利用可能です。
エミューミール(乾燥粉末)
高タンパク・低脂肪を維持しつつ、乾燥することで保存性に優れています。一般的なドライドッグフードの主原料として使用可能です。
加水分解タンパク物
低分子化によりアレルゲン性をさらに低減できます。消化吸収性が高く、療法食や超低刺激設計の商品に応用可能です。
フリーズドライ加工
素材の栄養を最大限保持し、機能性トリーツやトッピング素材として活用します。天然志向の商品ラインに適しています。
製造ラインや最終製品のポジショニングに応じて、形態を組み合わせる設計も十分可能です。たとえば、ミールで主成分を構成し、トッピングにフリーズドライ肉を加えるといった、機能性と嗜好性を両立した処方が考えられます。
配合比率・ターゲット層の設定
エミュー肉を使用する際には、製品の設計目的に応じてレシピを戦略的に設計することが重要です。代表的な開発コンセプトは以下の通りです。
アレルギー対応用フード
原則として動物性タンパク源をエミューに限定(シングルプロテイン)する必要があります。エミューミールや加水分解タンパク質を主成分に使用し、その他の動物性タンパク質を排除します。
体重管理・ダイエット向け設計
高タンパク・低脂肪の特性を活かし、エネルギー密度を抑えつつ筋肉量維持を狙います。L-カルニチンなどの燃焼系成分との併用も有効です。
高い栄養密度処方(回復期、成長期など)
高タンパク・高鉄分・ビタミンB群の含有を活かして、消化吸収性の高い成長期・回復期向け製品に適しています。脂質補強として他オイル類との併用も検討できます。
ターゲット層としては、アレルギー傾向のある犬、皮膚疾患の犬、消化器が弱い犬、体重管理が必要な犬種やシニア層が想定されます。飼い主の「安心・安全志向」「自然食志向」といったニーズにもマッチする原料であるため、プレミアム価格帯の差別化商品として訴求しやすいのも特徴です。
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- フリーズドライ生肉キャットフード
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