【徹底解説】犬におけるグリーントライプの効果

犬の健康をサポートするための新しい食材を探しているなら、グリーントライプが最適解かもしれません。消化機能を助け、免疫力を高める効果が期待されるこの栄養豊富な食材は、近年多くのペットオーナーから注目されています。

本記事では、グリーントライプの効果を徹底解説し、犬にどのようなメリットがあるのかを詳しく見ていきます。グリーントライプがもたらす健康効果を知り、犬の健康をさらにサポートするための情報を手に入れましょう。

トライプとは？

トライプとは反芻動物の胃から取れるお肉を指します。トライプと言えば、通常牛のそれを思い浮かべますが、ヤギ、羊、また鹿からも取れます。

反芻動物は草や干し草を食べる動物で、胃が第一胃（ルーメン）、第二胃（レティキュラム）、第三胃（オマサム）、第四胃（アボマサム）の4つの部位に分かれています。反芻という言葉が示す通り、反芻動物は食べては吐き出し、再び噛むサイクルを繰り返しながら食べ物を処理し消化します。

反芻動物は消化の過程で食べた物を発酵させ、重要な微生物や脂肪酸を作り出します。また、塩酸や重要な消化酵素を生成します。この独特の消化システムにより、トライプは栄養素と健康をもたらす細菌が詰まったスーパーフードとなります。

グリーントライプとは？

グリーントライプとは、単純にトライプの生の形（漂白や調理、大量加工をしていない状態）を指します。人間が生のグリーントライプを食べると病気になりますが、犬や猫は肉食動物であり、グリーントライプを問題なく消化することができます。

※以降、「トライプ」もグリーントライプの同義語とします。

トライプが含む栄養素

多くの動物性たんぱく質と同様に、グリーントライプには犬に必要な栄養が豊富に含まれています。

たんぱく質

多くの一般的な動物タンパク質源と比較すると、グリーントライプに含まれるたんぱく質はそこまで多くありませんが、その質の高さから犬や猫の食事に適した添加物として認知されています。

健康的な脂肪

グリーントライプは不飽和脂肪酸が豊富で、その脂肪全体の約50%が不飽和脂肪酸です。これらの脂肪酸は質の高い、長期的なエネルギーを提供し、健康的なHDL（高密度リポタンパク質）コレステロールを増加させます。

グリーントライプはペットの消化器系に十分な消化酵素を確保し、善玉菌と必須脂肪酸のバランスをとることで健康的な消化を促進します。

天然の水溶性食物繊維

グリーントライプには、部分的に消化された植物性繊維も含んでおり、牛（または他の草食動物）が食べた草を犬や猫が直接食べた場合には得られなかった栄養素をもたらします。

この消化途中の牧草に含まれる水溶性食物繊維は、犬の腸内にいる常在細菌叢を活性化し、食事からの栄養を効果的に分解・吸収するのを助けます。

カルシウムとリン

グリーントライプはほぼ完璧なカルシウムとリンの比率、そしてオメガ3とオメガ6脂肪酸の最適な比率を持っており、栄養バランスが取れています。また、グリーントライプは弱酸性のpHを持っており、ペットが消化しやすく、敏感な胃に最適です。

マンガン

グリーントライプには、マンガンが豊富に含まれており、骨の形成や結合組織の維持に重要な役割を果たします。また、マンガンは酵素の活性化に関与し、代謝やエネルギー生成をサポートします。このミネラルは特に成長期の子犬や高齢犬にとって、骨の強化や関節の健康維持に不可欠です。

乳酸菌（プロバイオティクス）

グリーントライプにはラクトバチルス・アシドフィルスという乳酸菌（プロバイオティクス）が多く含まれています。犬猫の体内に存在する有益な細菌であるプロバイオティクスは腸内で乳酸を生成し、腸内を酸性に保つことで、腸内環境を整える働きがあります。このようにして、アシドフィルス菌は悪玉菌の増殖を抑制し、腸の健康をサポートします。

天然の消化酵素

生のグリーントライプは消化酵素を含んでいます。天然の消化酵素は食べ物を栄養素に分解することで消化プロセスを助けます。利用可能な消化酵素が多ければ多いほど、ペットが食物から受け取れるビタミン、ミネラル、そして利用可能なエネルギーが増えます。

消化酵素は犬の膵臓によって生成されるため、消化酵素を含む食品を含めることで膵臓の負担を軽減し、全体的な消化をサポートしてくれます。

グリーントライプの利点

結論から申し上げると、グリーントライプは犬にとって非常に良いものです。ここでは、栄養豊富なグリーントライプを犬（または猫）に与えるべきいくつかの理由を説明します。

消化機能の強化

グリーントライプが消化機能の強化に優れている理由は、その豊富な消化酵素にあります。特に、リパーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、そしてセルラーゼという消化酵素が含まれています。

• リパーゼは脂肪を分解する酵素で、犬が食べた脂肪を効率的に消化できるようサポートします。これにより、脂肪からエネルギーをスムーズに吸収できます。
  　
• プロテアーゼはたんぱく質をアミノ酸に分解する役割を担い、犬の体が必要な栄養を取り込みやすくします。たんぱく質の消化が良好になることで、筋肉や免疫システムの健康をサポートします。
  　
• アミラーゼはデンプン（炭水化物）を分解し、糖分に変える酵素です。この酵素があることで、炭水化物から得られるエネルギーを効率的に吸収できます。
  　
• セルラーゼは食物繊維を分解する酵素です。犬の消化器官では、植物由来の繊維質を完全に消化することが困難でありますが、セルラーゼがあればこれを助け、消化の効率を高めます。これにより、草や植物からの栄養素をより良く吸収することが可能になります。

これらの消化酵素はすべて自然由来で犬の腸内フローラを健全に保ちながら、消化機能を強化します。これにより、犬の消化不良や腸内の問題を予防し、健康的な栄養吸収を促進します。

免疫力の強化

グリーントライプには、特に乳酸菌であるラクトバチルス・アシドフィルスが豊富に含まれており、犬の腸内環境を整えるのに役立ちます。その仕組みは以下の通りです。

犬の腸内には、悪玉菌よりも善玉菌が多い方が健康的です。グリーントライプに含まれる乳酸菌（プロバイオティクス）やプレバイオティクス（水溶性食物繊維）を摂取することで、腸内の善玉菌が増え、栄養の吸収が良くなり、消化がスムーズになるだけでなく、免疫力も向上します。

さらに、ラクトバチルス・アシドフィルスは下痢を減らし、犬の便の状態を改善する効果があることで知られています。この乳酸菌は消化を助けるだけでなく、犬の心身状態、被毛や皮膚の状態を改善し、口臭を軽減する効果も期待できます。

歯の健康に寄与

グリーントライプは、犬が噛むための乾燥製品やフリーズドライ製品として与えることができます。その独特なヒダ状の形は、犬が噛むことで歯を掃除する天然の歯ブラシのように機能します。

また、噛んだり引き裂いたりする動作は、犬の顎や口の筋肉を鍛える効果もあります。さらに、歯に付着した歯石を取り除くのにも役立ち、歯の病気や感染、歯肉炎などの予防に効果が期待できます。

環境の持続可能性に貢献

一般的にグリーントライプは食されない肉部分であるため廃棄されることが多いです。よってグリーントライプを犬に与えることで、動物肉全体を消費することに貢献し環境への負荷を減らすことができます。

摂取したい犬のタイプ

ほとんどの犬はグリーントライプを食べることでメリットを享受できますが、特に良いとされる特定の犬のタイプが存在します。

高齢（シニア）犬

一部の高齢犬は年齢とともに食欲を失い始めます。トライプの非常に強い匂いは、他のフードに興味を示さない高齢犬の興味を引くことができます。

フード難民の犬

食べ物に興味を示さないフード難民の場合、食事にグリーントライプを少し加えることを検討してください。他の食べ物を拒否する犬でも、強い香りによって興味をそそられるでしょう。

授乳中の母犬

授乳中の母犬は、栄養不足を避けるために追加の栄養サポートが必要です。トライプはカルシウムや脂肪酸などの栄養素が豊富なスーパーフードで、母犬に活力を与えてくれます。

手術後の犬

手術後、犬は不快感や吐き気を感じ食欲不振になることがあります。少量のトライプを食べることができれば、必要なエネルギーと回復を早めるための必須ビタミンとミネラルを提供できます。

食糞をする犬

一部の犬は、体がより多くの消化酵素を求めているために食糞をします。グリーントライプを食べることで、これらの犬は消化酵素を得ることができ、嫌な習慣をやめる事ができます。

腎臓病および腎不全の犬

グリーントライプはリン含有量が低く、（生・冷凍の場合）水分が豊富で、高品質のタンパク質と不飽和脂肪酸を含むため、腎臓の問題を抱える犬にとっても優れた食材です。

食物アレルギーや過敏症のある犬

ほとんどの犬はトライプにアレルギー反応を示しませんが、もし心配であれば、まず1つのタンパク質（牛肉）から始め、犬がアレルギー反応を示す場合は、別のタンパク質（ラム肉など）に移行してください。

EPI（膵外分泌機能不全）の犬

EPIは膵臓が食べ物を消化するための十分な消化酵素を生成しない場合に発生します。グリーントライプはEPIを治すことはできませんが、新たに消化酵素を提供してシステムを強化することができます。

トライプ摂取時の注意点

トライプには多くの利点がありますが、考慮すべきこともいくつかあります。まず、グリーントライプは人間にとって非常に臭いものです。強い匂いが一部の人には不快感を与えますが、その匂いが犬を魅了します。

二つ目に、グリーントライプは脂肪含有量が高いです。オヤツとして犬に初めて与える場合は、消化不良や下痢を避けるために少しずつ与えるようにしてください。

最後に、グリーントライプは栄養補助食品としての位置づけです。犬にはバランスの取れた食事が必要ですので、それだけを与え続けないでください。

トライプ製品別の良し悪し

グリーントライプはさまざまな形で製品化されています。各種類のメリットとデメリットを見てみましょう。

種類	メリット	デメリット
生肉や冷凍	熱処理されていないため、すべての栄養素と生きた消化酵素が含まれています。	冷凍または冷蔵する必要があります。
フリーズドライ	熱処理されていないため、栄養素はそのまま保持されます。	フリーズドライ食品は通常、冷凍食品よりも高価です。
エアドライ	熱処理が行われていないため、栄養素がほぼ保持されます。 また、犬が好む食感となっている為、歯の健康にも寄与します。	フリーズドライ同様、エアドライ製品も高価な傾向にあります。
乾燥（ジャーキー）	低い温度で処理されるため、多くの栄養素が保持されます。	低温処理のため、一部の栄養素や消化酵素が失われます。
缶詰（ウェット）	便利で長期間保存可能です。	缶詰タイプは通常、調理（熱処理）されます。その結果、多くの栄養素が失われます。

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